2015年9月26日土曜日

DAP紹介(4) AK380

さて・・・Sony製品のラッシュの後は他社製品の紹介です。
先日購入した超弩級プレイヤーの紹介です。



AK380 スペック
OS:Androi(Version不明)
CPU:非公開
RAM:非公開
ストレージ:256GB(SDカードで拡張可:最大128GB)
電池容量:3400mAh
外形寸法:79.8×112.4×17.9mm
重量:230g
操作:4.0型タッチパネル+側面ハードキー(3個)
再生動作時間:10時間
DAC:AK4490 ×2(Dual DAC)
ヘッドホン出力:アンバランス(2Ω)/バランス(1Ω)
ライン出力:あり(イヤホン出力と兼用)
デジタル出力:光デジタル出力(イヤホン出力と兼用)
Bluetooth:Ver4.0 A2DP(SBC,apt-X)/AVRCP
再生フォーマット:WAV, FLAC, MP3, WMA, OGG, APE, AAC, ALAC, AIFF, DFF, DSF
(サンプリング周波数:320k/32bitまで対応。DSD128までネイティブ対応)
エフェクタ:イコライザ20バンド

ルックス
筐体はジュラルミン(アルミ合金)で濃いブロンズ色に統一されています。
表面は金属質な上品さがあり、他のAKシリーズとはひと味違う風格があります。
(個人的にはAK240以前のデザインは好きになれなかったのですがAK380は結構好みです)
見ての通り、左右非対象の独創的な恰好をしています。角をそれなりに出してるのでシャープなイメージが強く、光の陰影がちょうど立体の面を光らせるように見えるので、ポリゴンちっくな立体美を感じます。
近未来的なイメージです。
(角が出ているため乱雑に扱うとすぐ塗装が剥げてきそうで心配ですが)
操作ボタンは左に3つと上部に電源スイッチ、左にボリュームエンコーダがあるのみでシンプルです。

USB端子は下部にありカバーなどはありません。その横にアナログ出力端子があり専用のドッキングアンプと繋がるようです。カバー付けないとここ剥き出しなんですが、誘導ノイズとか大丈夫なんでしょうかね?

ヘッドホン出力は上部です。バランスとアンバランスがあり切替は自動です。
プラグ形状は「普通」です。Sonyの様なごつい真鍮パーツなどはありません。なんとなくここが少し高級感薄れる部分です。別に音質にどうこうあるわけでは無いので構わないのですが。

背面はカーボン調になっておりロゴが上品に飾られています。メーカ名を大きく出さず、ブランド名をしっかりとデザインに生かすというのは好感が持てます。(別にiriverが嫌いとかじゃありません(笑))

ハードウェア
いろいろぶっ飛んでる本機です。特徴をいくつか紹介したいと思います。
基本的なCPUやらRAM容量については全て非公開です。少し寂しい気がしますが本機を使う上で特に知っておかないといけない内容ではありません。分解写真も見当たらないので後日分かったら追記しようと思います。
ストレージは256GBとハイレゾ音源を入れるのに頼もしい容量です。SDで拡張出来るので容量に困ることはまずないでしょう。
では特徴的なポイントをいくつか紹介です。

DAC
デジタルプレイヤーの命であるDAC(Digital Analog Converter)には旭化成の最新機種であるAK4490を左右独立して1基ずつ搭載しています。AK4490は旭化成の中でもVELVET SOUNDアーキテクチャを採用したプレミアムDACとして位置づけられている完全32bit処理のハイエンドDACです。(Phile-webに掲載されている開発者のこだわりがとても参考になります)
元々AK4490はステレオについてかなり配慮された作り(L/R独立で電源ピンを持つなど)ですが、これを左右1基ずつ独立にして、更にGNDもL/R独立で分けるという贅沢な設計をしています。
旭化成の技術の言う「風のような低音、究極的には感じる低音」がAK380から聞こえるかどうか非常に楽しみです。

クロック
クロックは一系統ですが超低ジッターVCXOを搭載しています。クロックジッターは200Fs(フォムト秒)という驚異的な低ジッタークロックです。フォムトはナノよりも6桁低い単位です。
ジッター無い事に越したことはありませんが、はたしてここまでの精度のクロックがどれだけ音に影響するのかはよく分かりません。実際ここまで精度のVCXOだと制御電圧のコントロールも凄い精度を要求されるので部品よりも基板のパターンや周辺回路の設計がもの凄く難しそうです。
(AK380のスペックとしてのクロックジッターは30psです)

専用DSP
EQ(イコライザー)程度の演算であればCPUで可能ですが、マルチタスクOSを搭載している関係上どうしても処理速度が揺らぐため定周期に同じ演算を行うような処理を行うと、プライオリティの高い処理に処理時間を奪われてリアルタイム応答が間に合わなくなる場合があります。
ハイレゾ音源などはCD音源の2~8倍以上のデータ量があるため、CPUで処理を行うと当然ながらかなりの負荷になります。結果としてユーザインタフェースの応答性を犠牲にしたり、画面処理を遅らせるなどの処置が必要になります。またCPUの処理が重いと動作クロックも上がってしまうため消費電力が増えデジタルノイズ増加の原因となります。(ハイエンドDAPでも小さな音でチリチリというパルス状のノイズが聞こえる事がありますが、これらは上記原因が主な原因です)
こういった対策のためCPU回路周囲をシールド板で被うなどの対策しているものが多いですが、小型化が要求される基板で貴重な基板面積をデジタル系で占有させてしまうため(CPU裏面のエリアもノイズ源になるのでチップが置きにくい)各社ともノウハウを持って苦労している部分のようです。
前置きが長くなりましたが、AK380ではCPUでこういった処理は行わず専用のAudio-DSPを搭載してデジタルオーディオ処理は全てDSPで行う構成を採用しています。CPU処理を軽減する構成としてはいいと思いますが欠点もあります。
・DSPを搭載する回路面積が必要。
・消費電力、コストが増加
・デジタルノイズ源が増える
主にコスト面と消費電力を天秤にかけるとCPUで出来る事をわざわざ外付けチップで行うメリットは一言で言えば「性能と品質」と言えるでしょう。AK380は天井知らずのコストなので(笑)積まない理由はありません。
またこのDSPでは主にPEQ(Q値が調整できるパラメトリックEQ)とボリューム制御を行っています。
Astell&KernのDAPは伝統的にボリューム制御はDACで行う事が多いですが、AK380では専用DSPで行うようです。DSP自体は192k/24bitまでの対応らしく32bit音源やDSD音源にPEQは掛けられません。
DSPを使っている事で期待できるのが、後々のファームアップデートで高音質化に繋がるエンジンが追加されるかもしれないという点です。例えばCD音源をハイレゾ相当にアップサンプリングするような処理などですがこれらは重い推測演算が必要なのでCPUで処理しきれない場合がありますが、DSPがあれば処理を全部こちらに任せる事が可能です。個人的にはこのDSP積んでる部分が非常に好感持てます。どうにもCPUでリアルタイム音声演算を行うという部分がハイエンドらしからぬ印象を持っていたので。(AK240とか)
他にもDSDとPCMの処理切替をどうやっているのかなど、気になる部分はありますが流石にそこまで説明された文献は見当たらないのできっとこの「魔法のDSP」でうまいことなんとかしてるんでしょう(笑)

アナログアンプ部分
この辺りは全然情報がありませんが、製品説明会では「デュアルDACとバランス出力との組合せでグランドまでL/R分離のTureDualモノラルDAC構成となる」と説明されてました。
知りたいのはソコじゃなくてアナログ回路なんですけどね・・・上の説明だとAK240なんかと同じなんですよね。DACが違うだけで。(240の時もアナログ回路はブラックボックスとか言ってましたし)
バランス出力アンプとアンバランス出力アンプはそれぞれ別々に持っているようですが、DACは共通なのでアンバランス接合部分でのGND配線をどう行っているのか興味沸くところです。
アンプの回路自体は(音を聞いた感じでは)どちらもディスクリートではないかと感じます。
またラインアウトはありますがヘッドホン出力との明確な区別はなく、ライン出力をオンにするとボリューム最大で出力するようになります。(従来のAKシリーズと同じ)

USB-DAC機能
AK240同様、AK380にもUSB-DACになる機能があります。メニュー設定でMTP接続かUSB-DACかを切り替える事が出来ます。 おそらくUSBラインをCPUかUSBレシーバのどちらかへ切り替える処理を行っているのでしょう。USB-DAC性能としては384kHz/32bit、DSD128まで対応しています。
この部分も公開資料がないので分かりません。AK240ではDSDネイティブ再生のためにXMOSチップが採用されていました。AK380はDSPを積んでいるのでXMOSは使わずDSP単体で処理してるかもしれません。
(なんとなく採用実績重視でXMOS積んでる感じしますが)
またWindowsのドライバーは通常のDirectSoundの他にKernel Streamingにも対応しています。foobar2000などでKSドライバーが選択できるので高品位な再生が可能です。
逆にUSB接続でUSB-DACを繋ぐ事は出来ません。(本機に関しては意味無さそうですが)
デジタル接続したい場合はステレオミニジャックから光出力が出来るのでSPDIFで繋ぐ事が可能です。
またSPDIFでDSD方式のデータを取り扱うことが出来ないので光出力でDSDストリームは出せません。(光出力の際にDSD再生すると、PCM176.4kHz/24bitに変換されます)

ソフトウェア
OSはAndroidですが徹底的にカスタムされていて、普通のAndroidスマートフォンのような使い方は出来ません。(ストアも使えない)
ホームアプリのようなものも無く、ホームアプリが再生プレイヤーそのものになっています。なので仮にHackなどでADBが使えるようになったとしてAndroidアプリをインストールしても起動する術がありません。(この機種関してはする人いないと思いますが(笑))
起動時間はおおよそ1分程度でしょうか。早くも無く、遅くも無くといったところです。
デフォルト設定で30分無動作で自動シャットダウンが有効になっています。電池消費大きいのを防ぐためと思いますが、いざ使おうと思ったときに電源切れてると1分待たないといけないのが面倒です。
(勿論オフにも出来ます)

再生プレイヤー
プレイヤーとしては特に使いにくい部分はありません。音楽ファイルはPC繋いでファイル転送しておけば、自動でタグなどを認識してデータベースを更新してくれます。(タグ解析が異様に速い)
60GB程度音楽ファイルを転送してみましたが、特に動作が緩慢になるようなこともなくさくさくと動いています。少しメニューアニメーションの動きが遅く感じる事がありますがその程度です。
カテゴリは アルバム、アーティスト、ジャンル、フォルダからソートできます。この他にもプレイリストとストアがあります。(ストアに関してはGroovers+が2015/9時点でまだ日本ではサービス開始していないようです)
プレイリストは基本的に本体でポチポチ作りますが、 本体フォルダのPlaylistsフォルダにm3u形式で作られるだけなので、分かってる人ならPCなどで作ることも可能です。
面白い機能に曲選択フィルタに周波数や形式による条件を加えられる事です。これによりDSDやMQS、ハイレゾ音源だけを聴きたい時など重宝します。

AK Connect
便利な機能の一つにAK380を外部からコントロール出来るようになるAK Connectがあります。
専用設計の特殊なものではなく、AK380がDLNAサーバになりネットワーク経由で外部のDLNAクライアントから操作できるというものです。
DLNAについては詳細省きますが、この機能を勘違いしてる人もいますので少しだけ注釈。

・AK380を「リモートコントロール」出来る訳ではありません。AK380の操作ボタンや画面操作をスマホから遠隔操作できるものではありません。
・AK380の「DLNAサーバ」にアクセスして再生操作をスマホのDLNAクライアントアプリから行えるだけです。従って再生中にスマホのDLNAクライアントを終了させるとAK380で再生中の曲が終了すると次の曲の再生は行われず停止状態になります。

このDLNAですが、AK380とスマホをWifiで繋いでお互いがIPアドレス使ってアクセス出来る事が条件です。具体的にはスマホ側をWifiデザリング状態にしておきAK380をそれに繋ぐか、Wifiルータなどに繋ぐかです。
Wifiデザリングは機種によってはホスト側がクライアントから見えない事もありこの場合は操作出来ません。
(確認に使ったXperia Z Ultra(SOL24)はデザリングで認識して操作出来ました)

DLNAサーバはNASなどに付いている事が多いですが、音楽ファイルのタグが文字化けしたり形式によっては認識出来なかったりと、個人的な印象ではあまり安定して使えないというイメージでした。
しかしこのAK Connectは素晴らしい。AK380で操作している内容と全く同じ表示がクライアントから確認出来ます(プレイリストまで見える)ボリュームまでコントロール出来るのは驚きました。
動作、認識も安定しています。

発売予定のクレードル(2015/9時点ではまだありません)をホームオーディオに繋いで、操作はスマートフォンやPCから行えると最高に使いやすそうです。

音質など
もう一言です。
凄くいい!
でもこれじゃ分かんないですね(笑)
元々NW-ZX2を使っていてAKシリーズは初めてです。なのでAK240などとの違いはあまり分かりません。
どうしてもWalkmanとの比較っぽくなりますがご容赦を。
視聴に使っているイヤホンはいつもどおりK3003です。ケーブルはwhiplashです。

まず残留ノイズ。ホワイトノイズですが「全く」聞こえません。
いやもう笑うほどノイズレスです。イヤホン繋いで電源入れても入れたことが分からないくらいです。
バランス、アンバランスともに確認しましたがどちらもノイズは聞こえません。

聴いてまず感じるのは音のキレの良さです。
解像度が高いとか音場が広いというのは「当たり前」で、高音も低音も非常にはっきりと聞こえます。
ボワつきというか曇ったような感じが全くありません。
キレがいいので元気な音に聞こえますが、決して荒々しくなく実にリッチに表現します。
低音の量も多すぎなく、不足もしておらず深く重い低音の音もしっかり出てきます。
弦楽器の「ギュー」という音が低域までしっかり出てくるので凄く深いです。
難しい低音の音場定位も崩れずよく分かります。
中域のボーカルも艶めかしく、息づかいが耳元で聞こえると思わずゾクっとします。
距離も遠くなく近すぎでもなく、楽器が綺麗に分離して聞こえるのでボーカルが全体の中でどこに位置しているのかよく分かります。目の前にライブステージがあるような錯覚すら受けます。
高音は立体感が素晴らしい。特に残響やリバーブといった反響した音が響きとして遠くから聞こえながら解けるように消えていく感じがたまらないです。

なにより一番気に入った、というか惚れ込んだのが静寂感の表現です。
限りなく無音に近い音の中で楽器の生音や風の音だけが空間に響いて解けるように消えていく。優れたダイナミックレンジとノイズフロアの低さがないと表現出来ない「音場」です。DACの所でもありましたが、風のような空間的な音の実にうまく表現出来ていると思います。

正直なところ、欠点が見当たりません。
イヤホンも機種を選ばずどんなイヤホンでもしっかりと鳴らします。K3003もそうですが、MDR-EX1000も特徴をそのまま出します。
また音源によっては残酷なまでに差を出します。mp3やAACなど256k以上のビットレートでエンコードすると元曲との違いが普通はほとんど分からなくなりますが、AK380で聴くとその差を音場表現で分かってしまいます。
このため「昔のmp3だから128kでエンコードしてるけど聴ければいっか」の感覚で128kbpsの音源を聴くと、flacや高ビットレートの音源との音質差を否応なく感じてしまい切なくなってしまう一面もあります。

まだ使い始めて1月も経ってないので、いずれ見えてくる部分もあるでしょう。
改めて数ヶ月後に使用レポートをしたいと思います。


気になる点
ありますよね。うん。気になる所がない機種なんて無いんです(笑)

1.お値段
なんていうか・・・ZX2の時に「高すぎ」と書きましたが、AK380からみたら大した事ないですね(汗)
異常です。クレイジーです。高すぎというより何にコスト掛けたらこんだけ高いんだ、と。
定価499,980円!
ケタ間違ってません。50万一歩手前です。
普通の人には信じられない値段だと思います。
こんなDAP買う方も何かネジぶっ飛んでると思います。いやぶっ飛んでます( ゚∋゚)
xxxが何台買えるとか、車が買えるとか、比較しちゃ駄目なのです。なのです。

2.安定性
基本的に安定してます。していますが、希に再起動しないと直らない状態になることがあります。
・AK Connectが繋がらなくなる(Wifi OFF/ONやAK Connect OFF/ONでも直らない)
・曲選択のフィルタで最低周波数を48K~とかにしたままにしてると、本体再生/AK Connectで44.1kのファイルを再生しても音が出ない事がある(曲選択のフィルタをリセットしても直らない)
どれもソフト的な問題なのでいずれ直るでしょう。

3.曲データの転送
知ってれば何も問題はありませんが、知らないと困る部分です。
基本はPC繋いで曲ファイルをMusicフォルダにコピーするだけです。
これだけなので、PCに詳しい人はシンプルでいいと思いますが統合ソフトに慣れた人には少しハードルがあるかもしれません。
そうなのです。AKシリーズにはPCの統合管理ソフトが(Windows,Mac問わず)無いのです。
これだけ高いのですからせめて管理ソフトくらいは用意すべきではないでしょうか。

ちょっと裏技的な使い方ですが、SonyのMedia Go(Walkmanの転送ソフト)でAKシリーズにファイル転送出来ます。転送どころか管理まで出来るのでまるでWalkmanのように(笑)AK380を使う事が出来ます。
デフォルトでは”ハイレゾ音源の変換”がオンなので設定でオフにしてあげると、moraで購入したハイレゾ音源をそのままMedia GoからAK380に転送出来ます。
これは中々便利です。Media GoはFlacのエンコードやタグ付けなども出来るので、AKとの相性も抜群です。管理ソフトで何かいいものを探しているのであれば是非試してみて下さい。
(Media Go自体は無料で使えます)
こんな感じで(AK380の名前は自分で設定しないと駄目ですが)認識されてます。
”ハイレゾオーディオを変換しない”とすればそのまま転送されます。
Media Goって結構いろんなDAPと相性良かったりします。(これでSony ASIO以外も再生に使えれば言うこと無いんですが)

iTunes?しらんがな(←アンチApple派)

4.バッテリーの持ち
ある意味仕方ないんですが、3400mAhという巨大なバッテリーを持ちながら(でかい重いといわれたNW-ZX2の倍あります)10時間しか持たない燃費の悪さはいかんともしがたい部分です。
DSPやDual DAC、バランス回路など消費電力多い回路が多いので仕方ないかもしれません。
音質とのトレードオフでしょうか。不満ではありますが、10時間も再生出来れば・・・とも思えたりします。
またこのバッテリーの大きさのせいで充電が長い!充電には大電流充電できる電源を用意しましょう。

5.動作中の”熱”
再生中は結構熱持ちます。胸ポケットにいれておくと暖かいなと感じるレベルです。
電気消費してるんだろうなぁ、と。心理的に電池持ち悪そうだなぁと思ってしまいます。

6.重さ
重いです。ずっしり230g。
でもそんなに「ずっしり」とは感じません。手の中にフィットします。
凄く重いと感じたNW-ZX2と同じ重さなんですよね。これ。
でもAK380の方が軽く感じます。筐体のデザインのせいでしょうね。
AK240SSほど重くはありません。あれは凶器です('A`)

7.プレイヤーでのジャケット表示
細かい箏ですがプレイヤーでのジャケット表示(アートワーク)が、どんな比率の画像でも真四角のアスペクト比で表示されてしまいます。AK240でもそうらしいのですが、もうちょっとなんとかして欲しい部分です。

8.付属カバーを付けるとサイドの3つのボタンが押しにくい
これまた細かい箏ですが付属のいい感じの革カバーを付けると、サイドの操作ボタンが押しにくい。
慣れでしょうか。ボタンが小さいというのも操作に慣れが必要っぽいです。

総評
今までWalkmanばかり使い続けてAKシリーズは今回が初めてですが、想像以上にしっかりとした出来でした。
IRIVERというメーカをずっと「高級オーディオメーカ」という見方が出来なかったのですが、AK380の完成度は高級オーディオに相応しい、それ以上のクオリティ(と値段)があり高級オーディオメーカとして十分通用するだけの製品を出してきました。
ポータブルでこの音は凄いの一言です。それなりのイヤホンは必要ですが、高級オーディオショールームで聴く上品でダイナミックな音をこの小さなDAPで何処でも聴くことができます。

間違いなく、現段階で最もハイクオリティなDAPと言えます。
あり得ない価格ですが、この音に取り憑かれるとその値段も納得しそうになります。
オススメはまず出来ません。してもきっと買わないでしょう(笑)
でも今持ってるDAPがハイエンドで不満があるなら一考の価値あります。

これがあればポータブルアンプも不要です。
え?専用アンプ?10万デショ。ご冗談を。HAHAHA

2015年9月23日水曜日

DAP紹介(3) NW-M505

ハイエンド続いたのでエントリーモデルの紹介です。
1台持っておくと便利。スティックウォークマンです。



NW-M505 スペック
OS:不明(組み込み用OS?)
CPU:不明
RAM:不明
ストレージ:16GB(SDなどで拡張不可)
電池容量:不明
外形寸法:85.5×21.3×19.9mm
重量:40g 表示:3行表示有機ELパネル
操作:ジョグダイアル+ハードキー(4個)
再生動作時間:15時間(レシーバ使用時10時間)
DAC:アンプと一体型のS-Master MX
ヘッドホン出力:シングルエンド, 10mW+10mW(16Ω)
ライン出力:なし
デジタル出力: なし
Bluetooth:レシーバー機能 A2DP(SBC,AAC,apt-X)/AVRCP/HFP/HSP
再生フォーマット:mp3,wma,ATRAC,wav,AAC
(サンプリング周波数:44.1k/16bitまで対応。ハイレゾ再生不可)
エフェクタ:イコライザ5バンド、クリアフェーズ、クリアベース
その他:FMラジオ、デジタルノイズキャンセル(専用のマイク端子付きイヤホンが必要)

ルックス
スティック型の小型ウォークマンで色は4種類。写真は黒ですが銀、紫、ピンク(?)があります。
(紫買えばよかった・・・ちょっと後悔)
ジョグダイアルはクリアパーツで出来ていて高級感があります。
有機ELディスプレイは明るく視認性も良好です。
背面にクリップが取付可能で服のポケットなどに止める事が可能です。
形が正方形を長くしたような感じなので、ポケットに収めるとコロコロと動いて少し収まりが悪いです。

ハードウェア
Androidではないので性能的な内部スペックはあまり意味はないでしょう。
ストレージは16GBと少なめですが、本機はBluetoothレシーバーになるという大きな特徴があります。
このお陰で16GBの容量はそれほど気になりません。スマートフォンと繋いでレシーバとして使えば高音質なレシーバーとして利用可能です。むしろこの使い方がメインではないでしょうか。
この大きさでS-Master MXを搭載していてエントリーモデルらしからぬ高音質です。
ウォークマンとしては尖ったスペックはありませんが、強力なノイズキャンセルなど手堅くスペックが固まっていて使いやすさと高品質の両立が出来ています。
ちなみにエフェクタはレシーバ機能時には使えません。ノイズキャンセルのみ使えます。
オマケのようにFMラジオが付いていますが、ほとんど使ってないのであまり感度とかは分かりません。
ノイズキャンセルは専用の集音マイク付きイヤホンを繋いだ時のみ使えます。(付属)
これがまた特殊で5極プラグです。
このプラグにどんだけ端子追加するねん!と言いたくなりますが(笑)
しかしこのプラグが刺さるジャックに普通のステレオミニプラグが繋がるので不思議です。
並べるとこうです。
なんかこれでL/R/GNDがちゃんと繋がるのか微妙に心配です。
ジャックが分解出来たら是非構造を見てみたいです。


ソフトウェア
電源オフからの起動は5秒程度。汎用OSを搭載してないせいか起動はとても高速です。
前回終了時の状態を覚えていてレシーバモードであれば電源オンでホストと接続します。
プレイヤーは可も無く不可も無くといった所で、特に不満も無ければ特徴もありません。
音楽ファイルはMedia goで転送してもいいですが、普通にファイル転送でコピーでもOKです。
再生はフォルダ単位で再生出来ます。”一つのフォルダ再生終わったら次のフォルダを再生”も出来ます。
(これ最近のAndroidウォークマン出来ないんですよね。なんでだろう)
また一部のイヤホンセットに特化したプロファイルを持っていて、それに合わせた音質調整設定が可能です。

音質など
感度いいイヤホンでもホワイトノイズは皆無
音質はZX1と似ていて全体的にハキハキしていてクリア。普通にいい音です。
高域、低域の感度がいいので少しドンシャリに聞こえます。
高級な音?には感じません。この微妙な雰囲気がS-Master MXとHXの差なのかもしれません。
(それとも出力に大きめの負荷抵抗でも繋がってるんでしょうか)
ウォークマンとしての再生品質は上々でしょう。値段以上にいいものです。
ではもう一つのBluetoothレシーバーとしての音質はどうか?
Bluetoothレシーバーはいくつか購入しましたが(有名なのはMW600など)、どのレシーバーでもホワイトノイズに悩まされ「無音」というものはありませんでした。
ところがこのM505、ホワイトノイズは全く聞こえません。
正直これは凄いです。長年探していた理想的なレシーバです。素晴らしい。

M505はS-Masterのおかげで音質はとても明瞭。電池持ちもとてもいい。
スマートフォン本体に有線接続するよりもM505で無線接続する方が音がいいと感じると思います。(あくまでも”普通の”スマートフォンで、ですが)

ではM505でウォークマンとして再生するのと、スマートフォンからレシーバとして再生するのはどう違うか?
スマートフォンで再生する音楽ファイルをM505にも転送して聞き比べてみました。
送信用スマートフォンはXperia Z UltraでA2DPコーデックはapt-Xです。

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Bluetoothで音楽を飛ばすとSBCやapt-Xなどの「非可逆圧縮」で音質劣化を起こすため、スマートフォン本体にイヤホンを有線接続した方が音がいい場合が多いのが一般的です。例外的に再生ファイルがAACフォーマットでA2DPをAACで伝送できる場合のみ、レシーバーの仕様にもよりますがAACのストリーム転送と同じになるので最も理想的な伝送になります。(iPhoneが出来るはずですが持ってないので分かりません)
****

結論から言うとM505で再生する方が音はいいです。当たり前ですね。apt-Xのエンコードが無いのですから。
Bluetoothレシーバーとして聴くとM505再生より音が全体的に曇った感じになります。
もっともこれは「聞き比べ」をして初めて分かる違いです。普通に使う分には分からないでしょう。
(ハイエンドDAP&高級イヤホンの高解像度の音に耳が慣れてしまうと否応にも分かってしまいますが・・・)

あとはノイズキャンセル。
Sonyが誇るデジタルノイズキャンセルは「凄い」です。何が「凄い」というと電車などで耳障りなゴーという騒音のみを打ち消すノイズカットレベルが凄いです。数世代前のアナログノイズキャンセルとは比較になりません。笑うほど綺麗に消えます。オバチャンの甲高い声はキャンセル出来ませんが。
またノイズキャンセル特有の圧迫感がほとんど無いのもポイントです。
専用のマイク付きイヤホンが無いと使えないため、音質に拘るイヤホンを使えないのが欠点です。
またノイズキャンセルを使うと消費電力も増えてしまい電池持ちが悪くなります。

音質とのトレードオフですね。

気になる点
割とベタ褒めの本機ですが気になる点はあります。
まず充電端子のMicro-USB端子。
充電の度に結構硬いカバーを外さないといけません。またこのカバーが軟質プラスチック?のようなもので耐久性に難アリです。長期間使用しなかった際に硬質化して割れてしまうのではないかと心配です。
次にはBluetoothの再ペアリングが遅い。スマートフォンのBluetooth有効にしてからM505の電源入れると繋がるまで30秒以上掛かる場合があります。(たぶんこれはスマートフォン側の仕様も絡むと思います)
他にはウォークマンとしての対応ファイルにflacがない。Apple loslessもだめ。可逆圧縮フォーマットが使えないのが少し残念です。
あと、あまりする人はいないと思いますがヘッドホン出力をヘッドホンアンプなどのライン入力に繋ぐと「ジー」というノイズが出る事があります。ハイインピーダンス駆動には向いてないのかもしれません。

総評
低価格(これを書いてる時点で1万ちょっとで購入できます)ウォークマンとしても、高性能Bluetoothレシーバーとしても優秀だと思います。
軽いので持ち運びも荷物になりませんし、ストラップ付ければ首掛けも可能です。
ノイズキャンセルも圧迫感少なく実用的なので「音質に凄い贅沢」を求めなければオススメです。

DAP紹介(2) NW-ZX2

次はNW-ZX1の後継、NW-ZX2です。
記事執筆中(2015/9)の時点でWalkmanの中で最高級機種に相当します。



NW-ZX2 スペック
OS:Android 4.2
CPU:Ti OMAP4 Dual-Core 1GHz
RAM:2GB
ストレージ:128GB(SDカードで拡張可:128GBまでは確認済み)
電池容量:1860mAh
外形寸法:64.7×130.4×16.2mm(最薄部:14.0mm)
重量:235g
操作:4.0型タッチパネル+側面ハードキー(六個)
再生動作時間:60時間
DAC:アンプと一体型のS-Master HX
ヘッドホン出力:シングルエンド, 15mW+15mW(16Ω)
ライン出力:あり(Dockコネクタ)
デジタル出力: USB-AUDIO接続(Dockコネクタ)
Bluetooth:Ver3.0 A2DP(SBC,LDAC)/AVRCP/OPP/HID/SPP
再生フォーマット:DSD,mp3,wma,ATRAC,wav,AAC,FLAC,Apple lossless,aiff
(サンプリング周波数:192k/24bitまで対応。DSDはPCM変換再生)
エフェクタ:イコライザ5バンド、 DSEE HX

ルックス
重みのあるアルミ削り出し筐体は黒く統一されシンプルな美しさがあります。
ZX1のスッキリとしたイメージはなくどっしりとした高級機の貫禄があります。
背面はラバー仕上げで滑りにくくなっており、ZX1からの段差も健在です。

ヘッドホンジャックの巨大な真鍮パーツはZX1より更に大きくなりました。
筐体分厚くなったのに真鍮パーツも大きくなったので出っ張りも健在です(笑)
これそんなに大きくして意味あるんでしょうか・・・?



サイドの操作ボタンは大型化されて押しやすくなった反面、もの凄く「ダサく」なりました。
特に音量の+と-の文字サイズはあり得ないです。なんでこんなに大きいんでしょうね。

デザイン的には全体的にずんぐりむっくりしています。
ZX1を所有していたのでどうしても比べてしまいますが、ZX1のシャープな格好良さはありません。
側面のラウンドデザインは筐体を妙に大きく見せてしまう上に高級感が削がれます。
表面がさらさらしているため滑りやすく「重いのに持ちにくい」という、あまり良くない感触です。

仕上げや個々のパーツはよく吟味されていて高級感はありますが、個人的にはデザインは正直好みではありませんでした。
同時期に発売されたPHA-3も似たようなデザインなので共通のデザイナーかと思いますがSonyらしいデザインではない様に思います。

ハードウェア
ZX1からスペックは大きく変わっていません。
CPUは同じです。RAMは2GBに増えました。
ストレージは128GBのままで、SDカードが使えるようになった事が大きな改善点です。
あと本体スピーカが無くなりました。(いいのやら、よくないのやら・・・)
ZX1の欠点だったバッテリー容量はほぼ2倍になり動作時間はかなり延びました。
主たるS-MasterはZX1から変わっていませんが、細かい部分でかなり改良が加わっています。

・シャーシをアルミと金メッキ銅板のハイブリッド構造に変更
 GND/アースの強化でしょうか。安定した低音が見込めそうです。
・新開発のバッテリーパック搭載
 ZX2専用にバッテリーパックを専用開発しています(異様なコストはこういうとこに出てるんじゃ…)
 低抵抗化(ZX1の半分の19mΩ)、大容量化(1860mAh)とありますが、専用設計までして拘る部分だったんでしょうか?電源は大事ですが電池の内部抵抗の影響は微々たる物で少し疑問です。
・電源に電気二重層コンデンサを追加
 S-MasterはD級アンプなので低周波駆動に瞬間的な電流を要求します。
 補助的な電力備蓄でしょう。本当は大容量の電解コンデンサを積みたかったんだと思いますが・・・
 電気二重層コンデンサは内部抵抗が高いため充電が遅く、電源インピーダンスも高いのでオーディオにはあまり使われません。音にどう影響あるのか楽しみです。
・プリント基板に厚膜銅箔プリント基板を採用
 これも主にGNDの強化がメインでしょう。ZX2は徹底して安定性を重視した設計の様に思います。
 GND面積も2倍だそうです。
・ヘッドホン出力ジャックを4極化
 これは後ほど・・・通常の3極から4極になっています。
 このため見た目はZX1ではスリーブ(ジャックの根元部分)まで金メッキ部品があったのがZX2では根元はプラスチックのままになっています。
・2系統のクロックを搭載
 44.1k系と48k系に別々のクロックを搭載しています。44.1/88.2/176.4kと48/96/192kの2系統のマスタークロックを切り替えて安定したシステムクロックを供給出来る、らしいですがよくよく考えると48k系はあまり音源ソースが無いんですよね・・・2相クロックを搭載することでお互いに干渉し合わないか不安の残る部分ではあります。
・オーディオラインの最適化
 ヘッドホン出力のLCフィルタに大型コイル、フィルムコンデンサを採用。デジタルアンプにとって最終段のLCフィルタは音質の命とも言えるので、ここはZX1との音質改善に大きく期待出来そうです。
 
WM-portなどの仕様は特に変わりなし。互換性の低いUSB-AUDIOもZX1と変わりません。
ラインアウトなども全く同じです。相変わらずラインアウトの音量は低いです。
ヘッドホン出力も駆動力自体はZX1と同じです。大型ヘッドホンを駆動するにはパワー不足が否めません。

ソフトウェア
ここもZX1との比較がメインです。
OSはAndroid 4.2になりました。ZX1にあった余計なアプリはかなり減りました。
またシステム領域が2GBになりました。これでアップデートの際に容量不足はまず起こらないでしょう。
W.ミュージックアプリ自体はZX1とあまり変わっていません。
ソフトウェアで最も大きな違いはBluetoothのコーデック追加です。
LDACというソニー独自のハイレゾ対応コーデックが使えます。
LDACについては主観ですがMDR-1ABTで聞いたところ「apt-xと同じかちょっといいくらい」のイメージを受けました。
というのもLDAC対応でハイレゾを聞き分けられるほどのヘッドホンレシーバがまだ無いため、なんとも評価しがたいのが現状です。 (MDR-1ABTは残念ながらそこまでハイクオリティなヘッドホンでは無いので…)

音質など
今現在、ZX1持っている人が店頭でZX2を視聴してもほとんどの人が違いが分からないと思います。
事実、自分も最初はそうでした。倍近いコスト掛けて何も変わってないじゃない、と。
実際に購入してじっくりと聞き込むと、良くも悪くもその違いが分かってきました。

まずZX1の音質の特徴である「全体的にハキハキしていてとてもクリア」という印象からはガラっと変わりました。ZX2は「全体的に大人しくなり自然な柔らかい感じ」に聞こえます。
特に中音域の表現がとてもいいです。ボーカルの艶やかさが控えめだったZX1に比べZX2はとても艶めかしく濃密です。欠点だった低音も深さ、沈み込みといった「重み」が出ています。
音場の広がりは決して広大ではないのですが、豊かで繊細で聞きやすい印象です。
(これは使うイヤホン/ヘッドホンで大分変わりそうですが)
ZX1で気になっていた部分がしっかりと改善されています。
総じてすごく上品で安定した聞きやすい音というイメージを受けました。
デジタルアンプでこの音質は素晴らしいと思いました。さすがはSonyです。
反面、ZX1にあった「明るさ」と「ハキハキ」というキャラクターが薄れてしまい、何を聞いても上品に再生してしまう一面があります。結果的に歪みの多い音など迫力に欠ける印象はあります。

ZX2の音は「デジタルアンプの完成された音」でヘッドホンアンプなどを繋いでも改善どころか改悪になる場合もあります。ZX1は「不満の残る音」だったので、外部DACやヘッドホンアンプを繋ぐメリットがありましたがZX2はそれ単体で十分過ぎるほどの完成された音が楽しめます。
(逆の意味でZX2は外部アンプを繋いで音質改善図る楽しみがあまり無い、とも言えますが)

また一つ大事な点ですが、ZX1もZX2もデジタルアンプ(S-Master)という仕組み上、ヘッドホンアンプ出力部のLCフィルタの定数を接続するイヤホンのインピーダンスに合わせないと設計者の意図した音にはなりません。ZX2は16Ω(らしい・・・?)ので繋ぐイヤホンもそれくらいであればベストでしょう。
Sonyのイヤホンは32Ωが多い(XBA-Z5やXBA-A3など)ので、その辺りでいい感じに聞こえる様にチューニングされているのではないかと思います。
(本レビューはK3003(8Ω)で聞いているので他のイヤホンだと変わって聞こえるかもしれません)
良くも悪くもイヤホンによって鳴り方が変わることが特徴です。


気になる点
ZX1から様々な改善を見込んだZX2ですが・・・気になる点は多くあります。

1.お値段
いやもう高すぎでしょう。ZX1の時にコスト度外視で・・・とか言ってましたがあれはなんだったんでしょうね。
ハードウェアの所でもありましたが電気部品に専用設計品があり、機構部品はほぼ全て専用設計です。
ZX1の欠点をなんとか改善したい、という意気込みはよく分かるのですがもう少し汎用部品でコストダウンできなかったんでしょうか。逆に言えば専用設計品をこれだけつぎ込んでこの値段は凄いとも言えます。

2.OSとソフトウェア
Androidを搭載しているのはいいとしても、本来の目的と異なるものが多すぎます。
本機はDAPであり音楽を聴くことが目的です。メールや地図などあっても使いませんし、そもそも通信手段がWifiしかありません。本機を持つ人ならそういった情報端末はまず間違いなく持っていると思われますので、スマートフォン的な使い方はまずしないでしょう。動画再生なんかも個人的には不要です。
余計なアプリケーションのせいでバッテリーを消費し、結果大容量バッテリーを積んで重くなるでは本末転倒です。
幸いにも使わないアプリケーションは凍結出来るようになっているので、ユーザに一任されているという事でしょうか。だったら逆に最初からは何も入れずシンプルな状態をリファレンスにしてほしかったと思います。
もっとも、そんな事よりスマホとかからリモートコントロール出来る機能とか付けて欲しいです。重いからいちいち出してくるのが面倒なのですよ。(こういう意見ないんだろうか?)

3.残留ノイズ
個人的にココが最も許せない部分です。
音質の部分で書くべきだったのかもしれませんが、無音時のホワイトノイズ(サーっというノイズ)がわずかながら聞こえます。ZX1よりは減りましたがZX2でも残っています。
高感度のイヤホンじゃないと聞こえませんが、一度聞こえるとすごく気になります。シーンとした静寂の中で鳴るピアノのような空気感が大事な部分でノイズが聞こえてしまうためイメージ台無しです。これ本当に10万超えるプレイヤなのか?と疑ってしまいます。
ちなみにライン出力でもこのノイズは聞こえます。なので完全に対策するにはZX1と同じく外付けのUSB-DAC(PHA-3など)を繋ぐしかありません。ただそれをやるとZX2の作り込まれた(?)アナログ部分を使わなくなるので、ZX2の価値が無くなってしまう気がしますが。

4. 起動時の盛大なノイズ
省電力化のためスリープ時にはアンプの電源をカットするようです。
これ自体は何も問題ありませんが、問題は起動時の挙動です。
電源オン時、もしくはスリープからの再生開始時に「サー」っというノイズが5秒程度かなり大きな音で鳴ります。(最初に大きなサー音がでて段々小さくなる)
おそらくアンプに使っている電気二重層コンデンサへのチャージ時間だと思いますが、これなんとか対策出来なかったんでしょうか。
「初回の一度だけならいいじゃない」という意見もあるかと思いますが、実際使うとすごく鬱陶しいです。
ディスプレイ消えてる状態で再生停止すると、即スリープになるため次の再生時に起動ノイズが出ます。
つまり曲を一時停止して再生するだけでもこのノイズに悩まされるのです。
ディスプレイが点灯した状態での一時停止ならノイズは出ませんが、曲の再生停止にいちいちディスプレイ点灯させてタッチパネル操作なんかせず側面のキー操作で行うのが普通だと思います。でもそういう操作をすると上記の通りノイズに悩まされる。
正直こんな不都合付けてまで電気二重層コンデンサを積まなきゃいけなかったの?と思います。
当然ながらZX1にはこんな不具合(これ不具合レベルでしょう?)はありません。
注意書きはありますがそういうもんじゃないでしょう。Sonyの製品と思えません。
またこの起動ノイズが5秒で収まっても、前述の残留ノイズのサー音が残り続けるので聴いてる印象としてはずっとノイズが鳴り続けてるような錯覚を受けます。最低のクソ仕様です。

5.4極ジャック?
ZX2はイヤホン端子に3極ではなく4極ジャックを搭載しています。
本機種を調べている人は何処かで見かけたと思います。「GND分離」と。
ZX2の出力はアンバランス出力でバランス出力ではありません。アンバランスでもL/Rの回路を分離しGND結合点を理想ポイントで繋ぐことでL/Rセパレーションを改善することが出来ます。
これを一般に(一般なのかな?)GNDセパレーション設計とかGND分離設計とか言いますが、ZX2に関してはこの様な設計にはなっていません。(Sonyも一切そんな事言ってない)
基板の分解写真を見れば分かりますが(インプレスの記事「7つのOS-CONを搭載」の写真参照)L-GNDとR-GNDは同じベタGNDパターンに繋がっておりL/Rセパレーションに特化したパターン分離も特に配慮されていません。
よくZX2のGND分離配線で、プラグ先端から L+,R+,L-,R- という記事を見かけます。内部配線上はそうなっていますがGNDは直結合なので4極化する意味はありません。
ただプラグとジャックの相性のようなもので根元のスリーブ(信号で言えばR-)の接触が良くない事があるようです。その際4極化して疑似バランスっぽく聞くと右の音が不安定になり全体的にステレオ感がおかしくなる事があるようです。(耳のいい人は酔ってくるくらい気持ち悪いとか。わたしはそこまで感じませんでしたが)
トークショーで明かされていますが、元々は4極にしてリモコン対応にする予定だったそうです。そもそもこの考えがおかしい(イヤホン付属してない時点で汎用設計にすべき)と思いますが、こんな事するくらいならZX1と同じ3極ジャックでよかったんじゃないの?と思います。リモコンとかデジタルノイズ混入の元です。

総評
ZX1から着実に「音」を改善してきました。同時に高級感を高めてプレミア感も上がっています。
反面、人によっては大きな欠点とも取れる部分を持ち合わせています。
また大型化による重量アップはポータブル機としてはマイナス要素です。
ZX1から買い替えを検討する人も多いと思いますが、個人的な印象ではZX1の方が出来がいいです。
じゃZX2って何がいいの?というと・・・
  音、は良いです。これは間違いなく。でも個人の好みのレベル。
  バッテリーの持ちは凄くいいです。他社のDAPの倍以上あるでしょう。
ぐらいかなと。気になる点を寛容できるのであれば良い機種と言えます。

個人的に期待してガッカリだったのは4極ジャックの仕様です。
冷静になれば基板写真見るだけで気がついたのですが、いろいろなサイトやメディアの「噂話」に乗せられた部分があり手持ちのイヤホンを片っ端から3.5mm4極バランス改造した後に気がついて熱が冷めました。
(4極化したイヤホンで聴いても、ぶっちゃけ音は「よくなった気がする」程度で違いは明確には分かりませんでした。たぶん改造した、っていう実績からくる思い込みでしょうね)
不確かな情報に振り回された自分が悪いのですが、やはり自分の耳でちゃんといいと判断しないと駄目ですね。

そんな感じでZX2はハイエンドとしてはあまり良い印象を持てませんでした。
お勧めできるか?と言われると正直お勧めは出来ません。
Sony製品は好きだし方向性も好みなので、次機種ではもっといい方向に頑張って欲しいと思います。