2013年9月16日月曜日

LV-1.0 (9) ヘッドホンアンプ その2

LV1-HPAMは高音質で言うことないのですが、ヘッドホンアンプはその方式や回路構成で様々な製品があります。
自作派の方々が公開されている回路にも興味深いものが多いですし、最近ではIC単体でも高音質なヘッドホンアンプICが出回るようになりました。
LV-1.0は全てのコンポーネントがバラバラに出来るのが特徴です。HPA部分だけを差し替えることも当然出来るので、ここではいくつかのHPA基板を搭載して音の変化を見てみます。

■LME49600ヘッドフォンアンプ
LME49600を使ったHPAは様々な方が製作されています。
ここでは基板サイズがLV1-HPAMと同じで扱いやすいのでMi-Takeさん配布のLME49600.H.P.A.を購入してみました。


抵抗はニッコーム、コンデンサはニチコンの固体コンデンサをチョイス。
出力にスナパ回路を追加して、いくつか発振防止のコンデンサを追加しました。
DCサーボの出力もLPFを追加してあります。
電圧増幅段のオペアンプはLT1468-2を使いました。繋ぎやすいように外部配線は全てコネクタです。

音質はICらしくくっきりとメリハリのある音です。LV1-HPAMにあったホワイトノイズは皆無。
出力ドライバのLME49600がパワフルでちょっとくらいのスピーカでも駆動できます。
ただクリアすぎて音の余韻や空気感が今ひとつな感じもします。(LT1468のせいかな?)
オペアンプで音質が結構変わってくるので、好きな調整が容易なのが魅力です。

■ハイエンド・ステレオヘッドホンアンプキット「HPA_6120
デジットで販売しているHPAキットです。
ヘッドホンアンプのICにTPA6120A2を使っています。電流帰還型でソニーのHPAにも採用されている高音質なICです。SNはなんと120dB。

基板サイズが小さいのでユニバーサル基板でゲタを作りました。
デフォルトの回路構成はバランス(平衡)入力なので不平衡入力にします。
・R3A,R8Aを47Ωに変更
・R4A,R9Aを未実装
・CN1A,CN2A各々の2-3pinを接続
・CN1A,CN2A各々の1-2pin間に10kΩの抵抗を追加(チップ抵抗がやりやすい)
これで不平衡入力になります。入力保護の10kΩは未接続がないので無くてもいいかも。

音質は素晴らしいの一言です。
電流帰還アンプらしく、低音の応答がよく歯切れのいい高音が鳴ります。
ノイズは全く無し。SN120dBにウソはありません。
1チップでこれは中々反則ではないでしょうか。
先のLME49600アンプと比べると明らかに音の傾向が違うのですが、甲乙つけがたいです。
強いて言えば、調整箇所が全く無いので音作りを楽しめないところでしょうか?
ある意味完成された音です。

0dB HyCAA基板
たかじんさんのHPで配布されている真空管ヘッドホンアンプキットです。
通常100V以上の電圧が必要な真空管を12V駆動とし、classAA回路という特殊な出力段を持った実に魅力溢れる回路構成です。
さっそく配布して頂き組み立ててみました。
  

非常に丁寧なマニュアルがあり製作にはまったく困りません。
推奨のパーツからこんな感じにチョイスしてみました。
・C1,C2(入力コンデンサ)はWIMAの1uF
・C3,C4(出力デカップリング)は470uF/16Vの固体OSコンデンサ
・C5,C6は手持ちの1000uF/35Vの緑MUSE
・R17,R18は47ΩでここだけDALE抵抗
・オペアンプはV-AMPをJRCのMUSE02、C-AMPにAD8397を選択
・真空管はrussiaの12AU7/ECC82
・真空管照らすLEDはなんとなく桜色LEDを組み込んでみた(笑)

基板サイズはそれほど大きくなかったのですが、残念ながら真空管の高さがNGで内蔵が出来ません(泣)
とりあえあず接続してみて音質をチェックしてみました。

真空管アンプはあまり聞いたこと無いのですが、まず驚いたのがノイズが全く聞こえないことです。
真空管に多いハム音も全くありません。素晴らしい。
音は先のICアンプに比べてどうしても「クリア感」は控えめです。
しかしながら独特の聞きやすさ、音のまろやかさがあります。
単純に周波数特性の悪い、かまぼこ型の音というわけではなく表現するなら「美音」というべきでしょうか。
長く聞いてられる、柔らかい音です。出力にオペアンプ使ってるとは思えません。
ただ全てがいいわけではなく、聞く音楽のジャンルを選びます。
ジャズやオーケストラ、イージーリスニング向けの曲はとてもいいのですが、ポップスやロックはキレの悪さがどうしても迫力不足になってしまいイマイチさを感じます。
良くも悪くも真空管の味、というところでしょうか。

真空管の高さで組み込めないのがとても残念です。
この音は捨てがたいので、後日ユニバーサル基板で入るように組み直してみようかと思います。
真空管バッファ部分のみ切り出して、LV1-HPAMに繋ぐというのも面白いかもしれません。
classAA回路は無くなりますが・・・



以上3つのアンプを紹介しました。
実際どれがいい?と言われると難しいです。
個人的に好みなのはデフォルトのLV1-HPAMですが真空管も音の傾向としては魅力的です。
ICアンプは音いいのですが、何かひと味足りない感じがしてしまいます。

他にもLH0032回路を使った物なども作ってみる予定なので、出来次第紹介したいと思います。

LV-1.0 (8) ヘッドホンアンプ その1

前回更新から大分時間が空きました。
相変わらずLV-1.0の紹介です。

LV-1.0(5) でヘッドホンのノイズが気になると書きました。
これについていろいろ試してみたいと思います。

LV-1.0はディスクリート回路で構成された高品質なヘッドホンアンプ(LV1-HPAM)が搭載されており、そのままでも十分高品質です。オペアンプで構成されたヘッドホンアンプと比べても音の良さがはっきりと分かります。

回路構成は一般的なディスクリートアンプ回路ですが、出力段にトランスリニア・バイアス回路を採用しています。アイドリング電流を低めにしつつ、一般的なAB級SEPP回路相当の性能を実現しています。
(上記写真は出力電流を少しあげてアイドリング電流を上げ目にした改造してあります)

音はとてもいいのですが、ヘッドホンによってはサーっというホワイトノイズが耳に付きます。
使用しているヘッドホンのうちSHUREのSRH840(インピーダンス44Ω)ではまったく聞こえませんが、オーディオテクニカのATH-CK100PRO(インピーダンス39Ω)では少し気になるレベルで聞こえます。
カナル型のイヤホンは感度がいいのである程度は仕方ありませんが、 静かな曲をゆったり聴くとどうしても気になります。

 ノイズ対策をいくつか試してみました。
1.電源回路の見直し
LV-1.0の電源回路は±12Vです。一般的な3端子レギュレータによる安定化電源を採用しています。
LV1-HPAMの電源入力にリップルフィルタを搭載したり、大きめのLCフィルタを搭載してみたりしましたが効果は見えず・・・
最終的に電源そのものをディスクリート+オペアンプ制御で作り直しましたが、これでも効果はあまりありませんでした。ゼロでは無いのですがノイズは消えません。
(この電源回路については後日記事で紹介します)

2. 出力段のエミッタフォロワの安定化コンデンサの調整
出力のTHD(歪み率)改善が見込める調整(写真の100μFのOSコン)ですが、ノイズにはほとんど影響はありませんでした。音質の変化はあまり感じられません。

3.アイドリング電流を上げる
初期設計時のアイドリング電流は6mAですが、出力段の1W抵抗を変えることで多少上げる事ができます。
出力電流制限の抵抗を82Ωから51Ωにすることでおおよそ10mA程度になります。
よりA級動作に近づくわけですがノイズにはさほど影響ありませんでした。
音質は少し音の立ち上がりがはっきりしたような感じがします。

4.出力アイソレータを変える
LV1-HPAMの出力には発振防止用に10Ωと2.2uHのアイソレータが入っています。
あまりやりたくないですが、直列抵抗分を増やしてノイズ対策を行ってみます。
どういうことかというと・・・
本基板の入力コネクタを外してOpenにしてもノイズは変わらず聞こえます。
ただこの時のノイズ音量は入力ケーブルを繋いでいた時とほとんど変わっていません。
ということは入力信号にノイズが混入していて増幅しているわけではなく、聞こえているホワイトノイズは本アンプ自身から発生しているノイズということが分かります。
意図的に出力に抵抗成分を増やす事により、このノイズを減衰させ聞こえなくするのが目的です。
勿論、抵抗成分が増えるため入力される音声も少し下がります。このため少しボリュームを上げてやります。
但しいいことばかりではなく、出力に直列に抵抗成分が入ってることにより音質そのものが変化してしまいます。インピーダンスの高いヘッドホン(300Ωなど)だと無視できるかもしれませんが、16Ω~50Ω程度の低いインピーダンスのヘッドホンだと無視出来ない影響が出る可能性があります。


まずLV1-HPAMについている10Ωと2.2uHのアイソレータを外して短絡しておきます。
上記回路をLV1-HPAMとヘッドホンジャックの間に組み込みます。

ヘッドホンジャック基板の上にスペーサで2F建てになるように組み込みました。
L1以外全て調整出来るように交換可能なソケットにしています。
抵抗は交換しやすく音質的な評判もいいニッコームのプレート抵抗を使っています。

R1は変えても音質もノイズもあまり変化ありません。R2も同様です。
どちらも発振防止のアイソレータとスナパなので発振しないところで設定出来れば問題ないでしょう。
R3が大きく影響します。R3をいくつか差し替えてみると

 4.7Ω ・・・  ノイズはまだあるが音質的な影響はほとんど無い
 10Ω ・・・ わずかにノイズはある。音質はすこしだけ音の明瞭感が曇った感じがする
 22Ω ・・・ ノイズはほとんど聞こえない。音量が少しさがるせいか音全体の勢いが少し減る
 33Ω ・・・ ノイズは聞こえない。音質はかなり音が曇る。もこもこしてる

といった感じになります。33Ω程度でもここまで音質変化があるのに驚きました。
最終的にバランスのいいところで10Ωにしました。CK100PROもSRH840も音質的な影響は無視できるレベルです。
R4はヘッドホンを繋いでない時の負荷抵抗です。出力にカップリングコンデンサが無いので不要かもしれませんがおまじないに入れてあります。


結局のところ、直列抵抗の追加で対策になりました。
市販の抵抗入りケーブル(アッテネータ)にもこういった製品があるのでわざわざ基板改造してまで対策するものではないかもしれません。実際ヘッドホンによっては気にならないわけですので・・・
紹介だけですが
Etymotic Research ER38-24
COWON LIAAIL SC
audio-technica AT3A50ST/0.5
このあたりがアッテネータとして使えます。(リンクはamazonです)
使うヘッドホンに合わせてこういった物を挟むのもいいかと思います。
ただ抵抗値によって大きく影響受けるものもあるので、その場合は紹介したような出力フィルタ回路を組むのも悪くないと思います。


LV1-HPAMの回路図はトラ技の2012-7月号に載っています。ここで掲載するのはまずいので興味のある方はバックナンバーを購入、もしくはマルツでLV1-HPAMを購入すると回路図付いてきます。

2013年6月10日月曜日

LV-1.0 (7) アナログ入力基板

LV-1.0は発売時の仕様ではアナログ入力機能が省かれていました。
トラ技での特集でもたしか無かったかと思います。

マイコンやリモコンにはこの機能を見越してあらかじめ機能実装されており、マイコンから制御信号が出ています。
この制御信号でアナログ入力切替機能を実現すればいいわけです。

まず標準状態のLV-1.0のブロック図はこんな感じです。
アナログ入力基板は上記ブロック図のDACと電子VRの間に入ります。

アナログ入力基板は LV1-AIOM-KIT として既に販売されています。
アナログスイッチとオペアンプで構成されたシンプルな切替回路です。電源は±12Vですが基板上で±5Vに落とされています。
オペアンプとアナログスイッチが挿入されるので少なからず音質は劣化します。
音質の違いが聞いて分かるかどうかは別として気分的にいい気しません。
普通にLV1-AIOM-KITを実装してもツマラナイので改善案を考えてみました。

切替そのものにはアナログスイッチを使っています。
アナログスイッチの欠点はON抵抗がそれなりにあるということです。LV1-AIOM-KITではHCT4053が使われており、常温状態で40~120Ωの直列抵抗を持ちます。
抵抗成分は音質的にはよろしくなくノイズ源になります。スイッチなのですからできるだけ0Ωであることが望ましい。
ということでいろいろ調べてみるとADG333Aというのが良さそうです。ON抵抗は20~45Ωとかなり小さく電源電圧も±12Vがそのまま入ります。
入手も特に問題無く、なんとamazonでICが買えます(笑) 送料掛かっちゃいますがラクチンです。
ワンクリックでICが買える時代です。なんとも感慨深い・・・どことなくありがたみが薄いですが。

音質劣化を出来るだけ避けるのであれば切替はメカリレーという手もあります。
但しメカリレーはある程度直流が流れていないとON/OFF接点が劣化してきて長期的に故障の可能性があります。ガス封入型(アンバー)などを使えばある程度改善出来ますが、何かこう原始的な感じがするのでアナログスイッチで行きましょう。

あとはマイコン基板とのI/F部分です。
というのもマイコンは5V系の電源で音声は±12V系の電源です。GNDは共通とはいえ、ここで繋いでしまうと大きなGNDループを形成してしまうことになりハムノイズの影響が懸念されます。
なので制御をマイコン系とアイソレートするためにフォトMOSTリレーを使います。
フォトMOSリレーなら駆動電流がとても少なくて済むのでマイコンから直接ドライブ出来ます。
入手性からAQV224Nを使いました(単にデジットですぐ買えたものがコレなだけですが)
ON電流が0.9~3mAなので1kΩの抵抗を直列に入れておきます。

スイッチ系はこれでOKであとは入力部のバッファです。回路自体は単なるボルテージフォロワで、アナログスイッチへのインピーダンスを高くするために付いています。
外部入力はどんな機器を繋ぐか分からないのであるべきでしょう。カップリングコンデンサも外すべきではないと思います。
内蔵DAC側はDACのLPFの出力が十分インピーダンス高いので特にバッファは必要なく、そのままアナログスイッチに直結しても構いません。カップリングコンデンサもDCが出てないので特に不要でしょう。

以上からこんな感じで回路変更をしてみました。
1.アナログスイッチをHCT4053からADG333Aに変更。ADG333Aは変換基板を作る。
2.マイコンからの制御にAQV224Nを挟んでアイソレートする。
3.入力バッファのうちDAC側のカップリングコンデンサを外す(ショート)
4.アナログスイッチ出力についているカップリングコンデンサを外す(ショート)
5.外部入力のカップリングコンデンサを無極性電解コンデンサからフィルムコンデンサに変更
6.バッファ入力部の抵抗をDALE抵抗に変更
7.バッファオペアンプにパスコンがないので基板裏面に追加
8.レギュレータにパスコン追加
9.オペアンプをTHS4631に変更
10.電源のカップリングコンデンサをニチコンのオーディオ用に変更

基板表
基板裏
ADG333A変換基板
組み上がり(オペアンプはちょっとごついヒートシンク付き)
随分とごつくなってしまいました。
ネジがADG333Aを外さないと回せません(笑)
レギュレータは結局外さずそのままにしました。交換したオペアンプの電源電圧ぎりぎりですが・・・
DAC側のバッファもそのまま残しました。気が向いたらショートソケット作って差を見てみようと思います。

組み立てて繋いでみるとちゃんと切り替わります。
もっともアナログ入力はこれといって使い道がありませんが・・・じゃあ一体何のためにつけたんだと怒られそうです(笑)
音質的には入れても入れなくてもほとんど差は感じません。駄耳ですね。

2013年5月30日木曜日

LV-1.0 (6) ファームウェアの話

今回はLV-1.0のFW(ファームウェア)の話です。
LV-1.0にはSMBM基板のシステムマイコン(LPC1343)のFWとUSBIM基板のFXマイコン(USBマイコン)のFWがあります。
(これとは別にFPGAの回路プログラムもありますが今は割愛します)

LV-1.0はマルツパーツから購入できますが、初期インストールされているFWはトラ技オリジナルFWは入っていません。マルツFWがインストールされています。
FXマイコンはトラ技FWのみですが、システムマイコンはマルツ製とトラ技製の二種類あります。

トラ技のLV-1.0のFWページ
マルツパーツのLV-1.0のFWページ
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ちなみに上記トラ技のFWページですが「PCコントロール・ソフトウェア」の
ダウンロードリンク先が間違っています。

 FPGA書き込み機能限定版
 http://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/download/2012/lv1/soft/LV10_20120110.zip
 画面設定機能付き版
 http://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/download/2012/lv1/soft/LV-1.0_20120130.zip

 が正しいようです。
※本情報はマルツパーツ様にお教え頂きました
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何がチガウかというと・・・
トラ技FWは現在(2013/5)もソースコードが公開されていません。
マルツFWはソースコードが一式公開されており開発環境を構築すればユーザが自由に改変出来るようになってます。
動作的にはトラ技FWの方がOLEDの表示などがリッチです。マルツFWはシンプルな表示です。
細かい部分では動作が違いますが、機能操作はどちらも同じ事が出来ます。

システムマイコン(LPC1343)の開発環境の作り方はこんな感じです。

1.LPCXpressoのインストール
  LPCXpressoのインストールと登録はトラ技のHPで紹介されています。
2.LPCXpressoを起動してImport ProjectでマルツFWを登録します。

3.LV-1.0の他にCMSISv1p30_LPC13xxが必要なので
  \lpcxpresso\Examples\NXP\LPC1000\LPC13xx\CMSISv1p30_LPC13xx.zip
  もProjectに追加します。

4.Full Buildしてみてエラーが無ければOKです。
  Buildが正常に出来ればDebugフォルダにLV-1.0.binが出来るはずです。
  ソースいじる環境ができました。

システムマイコンのFW更新は、SMBM基板のジャンパーを差し替えてUSBを繋ぐとUSBメモリとしてPCからアクセス出来るようになります。(システムマイコンはUSBバスパワーで動作可)
中にFirmware.binがあるので削除してから上記環境で出来たLV-1.0.binをコピーします。USBを外しジャンパーを戻して電源を投入すると自動でFWが書き換わります。便利です。

興味のある方は是非環境整えてマイコンFW改変にチャレンジしてみて下さい。
C言語が少し分かれば誰でも簡単にいじり回せますよ!


それにしてもトラ技のLV-1.0ページは放置が酷すぎませんか・・・?
ソースコードはいつまでたっても公開されないし、上記リンクすら直そうとしません。
そもそもトラ技のHPは連絡用のメールアドレスすら無いので指摘も出来ないんですよね。
わざわざ手紙とか書いてやってられませんし。困ったもんです。

2013年5月29日水曜日

サラウンドヘッドホン (3) DR-GA500のプロセッサボックス

DP-GA500ですが中身はどうなってるのでしょう。
分解してみました。
外観はこんな感じ。比較的小さいです。
裏面。ゴム足が貼ってあるのでこれを剥がすとビスが4本あります。
手前に支点に後ろを持ち上げるようにして上蓋を開けます。
基板が出てきました。
中央下のシールドボックスは半田を外さないと取り外せないので今回はパス。
中にDSPチップが入ってるはずなので後日分解してみます。
上の7.1chのアナログ入力付近に並んでいるのはPCM1808です。
ステレオA/Dコンバータで7.1(8)ch分をまずここでPCMに変換しているようです。(4つ)
右の方のはC-MediaのUSBコントローラ。普通の2chUSBオーディオチップのようです。
(ピンぼけで型番が見えません。申し訳ない)
金属部囲われた部分の右側。なじみの無い型番のICが並んでいます。
左上のICはLC89052TAでデジタルオーディオレシーバです。
パターン追いかけていませんがUSBコントローラのSPDIFをI2Sに変換でしょうか。
中央のICはF0513と書かれていますがおそらくマイコンでしょう。LC89052TAのマイコン制御ラインに繋がっています。
DSPが隠れている部分へ何本か配線伸びているのでDSPの制御もこのマイコンがやってるのかもしれません。
ヘッドホン回路と電源周辺
マイクはスルーといいながらなんか回路があります。バイアス掛けてるだけかな?
DSPからのデジタル信号はDAC(WM8728S)で受けて2chアナログに変換後、ボリューム通してヘッドホンアンプに入っています。
ヘッドホンアンプのチップはAAX UARと書かれた16ピンのICですが詳細は不明です。
電源入力は5.2Vです。チョークコイルの後に電源ICがあります。

全体としては7.1ch入力をA/DでI2S変換、もしくはUSBからの2chをI2S変換されたものがDSPに入り、しかるべき処理後にステレオDACでアナログに戻してHPA経由で出力のようです。
PCからみれば、PCのサウンドカードでD/Aされて本機でA/DされてまたD/Aというステップになるので音質劣化は免れません。その割に結構いい音してます。
音質アップを図るのであれば7.1ch入力を全部デジタル入力にして直接DSPに入れてやればD/Aが一回になるのでいいかもしれません。ただ問題は7.1chでマルチステレオデジタル出力できるサウンドボードが現状見当たりません。
本機が5.1chのドルビーデジタル入力出来れば言う事なかったのですが・・・
サウンドボードを改造すれば出来なくも無いですが、そこまでする価値があるかどうか悩みどころです。

というわけでお手軽なら本機のA/D部分のアナログ回路の見直し、D/A部分の見直しあたりかなと思います。
DACの入力をパラで横取りしてSPDIF出力付ければ、お気に入りのDACとHPAに繋げられるので面白そうです。

LV-1.0 (5) 組立と使用感

というわけで個々の基板改造が出来たので一気に組み立ててしまいます。
配線材もキットに全て付属していますが、説明書に書いてある通りケーブルアセンブリしていかないといけないのが結構手間が掛かります。
(流石にコネクタのピン圧着はキットの時点でしてありますがw)
音声信号と対になるGNDをツイストしておきます。これがまた結構あってメンドイ・・・
なんだかんだで一日作業です。

途中経過だけどこんな感じで組み上げていきます。意外とケーブル短くて丁寧に整線出来ません。
端子配線は半田むき出しの加工が無いように熱収縮チューブなどで保護しておきます。

ちなみにLV-1.0で使っている基板間コネクタですが電源以外は日圧のPHシリーズを使っています。
PHは一度コネクタを差し込むとかなり強くロックが掛かるので、抜き差しを何度もするかもしれない場合はあらかじめハウジング側のロック爪を削っておくのもいいかと思います。
(ロック掛からなくても十分固定出来ます)

一通り組み上がったらテスターでチェックして通電です。
リモコンの電源ボタンを押すとOLEDの画面が点灯し、各基板のLEDが点灯します。
(分かってても初回電源投入で問題無く動くと思わずニンマリしてしまいますw)
スピーカに耳を近づけてもノイズは全く聞こえません。優秀です。
ちなみにスピーカはMonitorAudioのRadius90です。小型でとてもいい解像度のスピーカです。
ヘッドホンはインピーダンスの低い感度のいいヘッドホンを繋ぐと少しサーっというホワイトノイズが聞こえます。(CK-100PROだと聞こえる)これはちょっと残念です。ディスクリートということで期待していたのですが…

PCから音楽をいくつかスピーカ再生してみます。解像度のいいリッチな音がします。
小さな音や響きのいい余韻もしっかり聞こえ、気持ちよく聞いてられる音質です。

少しノイズのあるヘッドホン出力ですが、ノイズを無視すれば素晴らしい音です。
低音はハリがあり高音はキレイに響きます。普段使っているオペアンプ+バッファのお手製HPAより明らかにいい音です。
惜しむべきはノイズです。これは後々なんとか出来ないか対策してみたいところです。
ピアノソロなんかだとどうしてもノイズが気になります。これさえ無ければ・・・

PCからの再生ですがLV-1.0は標準でUSB AUDIO Class 1.0対応です。なので96kHz/24bitが最大の対応になります。
試しにPC側の出力を96kHz/24bitとするとOLEDに96kHzが表示され正常に再生されます。
USB基板のFX2マイコンのFWを更新すればUSB AUDIO Class 2.0も対応出来ますが、Windowsでは標準サポートされていないので専用ドライバがないと動作しません。残念ですがLV-1.0ではドライバは提供されていないのでClass2.0を使いたい場合はLinuxかMacを使う必要があります。

とりあえず192kHzも動くか確認したいので同軸デジタル入力を試してみます。
手持ちの機材が借用したUDT-1しかないので繋いでみますが音が出ません。
サンプリングレートを切り替えるとOLEDの表示は切り替わります。全く動いてない訳ではなさそう。
うーん、何故でしょう。OLEDの表示はSPDIFにもなっているし、周波数も切り替わってるので音が出ても良さそうなのですが・・・
デジタル入力が使えないといろいろ繋ぎたかったものが繋がらないので困ります。
追々調べてみようと思います。

総じて完成後の感想は
・落ち着いたデザインで長く使えそう
・音はいい。ただヘッドホンのノイズだけは気になる
・同軸デジタル入力が動いてない?
といった感じでしょうか。

これからいじり回しが楽しみです。

2013年5月27日月曜日

サラウンドヘッドホン (2) DR-GA500


ゴタゴタと書いたけど詰まるところ、バーチャルサラウンドヘッドホンを試してみたいので検討していたわけですw
ゲームでサラウンドを効かせたい。今のPCのマザーボードがMAXIMUS V GENEなのでオンボードサウンドが割といいものが付いています。

オンボードのSupremeFX IIIはRealtekのサウンドチップですが、ソフトウェアでクリエイティブのX-Fi機能がサポートされておりTHX TruStudio Proが使えます。
とりあえず試してみます。

音は出来るだけいいものを、ということでMBの光出力をお手製DAC+HPAに繋ぎます。
ソフト設定でヘッドホンを選択してサラウンドをONにし、各chのテスト音声を流してみます。
・・・・
結構ちゃんと分離してます。オンボード侮りがたし。
センターは前方に、リアは両耳の斜め後ろあたりに音を感じます。
ただ音像があまりはっきりしません。こういうモンでしょうか?


次にDR-GA500です。amazonでポチりました。あっという間に届きました。
恐るべし、amazon。ちなみに4gamerのレビューはこちら

DR-GA500の7.1ch入力はちょうどオンボードのSupremeFX IIIのアナログ7.1chと合致するので、そのまま繋いでみます。
オンボードサウンドのアナログ出力は全然期待してないのですが・・・思った以上にマトモです。ノイズも聴感上聞こえません。(プロセッサボックスのDP-GA500もホワイトノイズは付属ヘッドホンでは全く聞こえません。優秀)
PCのTHX TruStudio ProのサラウンドをOFFにし、スピーカ出力を7.1chに設定。DP-GA500の設定をFPSに設定。
各chのテスト音声を流すとTHX TruStudio Proとはまた違った音響効果です。音像がモヤモヤしにくいので個人的にはこちらの方が好みです。
ただ妙に低音が強調される雰囲気があります。高音もきつく音量を上げるとうるさいです。
原因はいろいろありそうです。PCの出力、プロセッサボックス・・・
次回へ続きます。

ちなみに一般的な2chソースの音楽を上記ヘッドホンで聞く場合は、THX TruStudio Proで7.1ch化しDP-GA500で2ch化することになります。
音は広がります。が、やはり元々が2chでマルチチャンネルの音源情報がないので全体的に不自然で場合によっては聞きづらくなります。
ポータブル音楽プレイヤでサラウンド掛けた時と似たような感じです。
やっぱりステレオ音楽はステレオで聞くのが一番よさげです。

サラウンドヘッドホン (1)

PCでサラウンド対応のゲームやBD(DVD)鑑賞してると一般的な2chステレオだと物足りなく感じます。
特にゲームなんかはサラウンド対応していると臨場感が段違いです。

スピーカを5.1ch分並べて視聴出来ればベストですが、家庭の事情や再生しているメディアの内容(?)などでスピーカから音を出せないという場合もあると思います。
そうなるとヘッドホンによるサラウンド環境となりますが、この場合はリアルチャネル対応とバーチャルサラウンド対応の2種類になります。

リアルチャネルは文字通りch分のドライバをヘッドホンに内蔵したものです。ドライバーが独立している分サラウンドは正確に表現出来そうですが、ヘッドホンという構造上耳元に複数のドライバがあることになるので距離感などがスピーカシステムと比べ不自然になってしまいます。
またch分のドライバーを駆動するアンプが必要になり、ヘッドホンも専用になってしまうため本格的にオーディオとして作るとかなりコスト高になります。実際リアルチャネルのサラウンドヘッドホンでオーディオ向けというのは見た事ありません。

対してバーチャルサラウンドは一般的な2chヘッドホンで5.1chの音声を擬似的にDSPなどで立体音響化して再生する方式です。途中にDSPが必要になるのがネックですが、一般的なヘッドホンが使えるという大きなメリットがあります。
もっともDSPで立体音響というのも簡単ではなく、いくつか一般的な方式があります。
まずソースとなる音源が2chなどの場合は・・・

 ・ドルビープロロジックⅡx / ドルビープロロジックⅡz
 2chや5.1chの音声を7.1ch/9.1chに拡張する。マトリックスを元に拡張したものらしい
 2ch音声の拡張はたぶん一番コレが普及してると思う
 ・dts Neo:6 / dts Neo:X
 2chや5.1chの音声を6.1ch/11.1chに拡張する。ドルビープロロジックのdts対抗版

こういった技術で7.1ch・11.1ch化します。
更にこれを2chのヘッドホンで立体的に聞こえるように難しい理論で音場変換します。

 ・ドルビーヘッドホン
 5.1chや7.1chの立体音響を2chに変換する。ドルビー製。オーディオメーカのはほとんどコレ
 ・VPT(Virtual phones technology)
 5.1chや7.1chの立体音響を2chに変換する。ソニー製。こんなの
 ・CMSS-3Dheadphone
 5.1chや7.1chの立体音響を2chに変換する。クリエイティブ製。ドルビーヘッドホンより音場が広い
 Sound Blasterに付いている。今はTHX TruStudio Proがそれ相当?
 ・DTS Headphone:X
 11.1chの立体音響を2chに変換する。DTS製。まだ製品は見かけない。いいらしい。

他にもバーチャルサラウンド技術はありますが、有名なのは上記あたりかと思います。
なんだかんだ製品は結構ありますが、同一技術を使った物はほぼ同じ様な音です。
パナソニックのRP-WF7やオーディオテクニカのATH-DWL3300、パイオニアのSE-DRS3000Cなど。
上記は全てドルビーヘッドホン技術なので似たような音場です。

ソニーのVPTやCMSSは独自ですが評価見る限りではどちらもかなりイイ様子。
CMSS(THX TruStudio Pro)はSound Blasterに付いています。Sound Blasterといえばあまりアナログ的にいい評判ありませんが、最近のはDAコンバータ外付けなどで悪くないようです。
VPTの対応製品はソニーのMDR-DS7500あたりがよさげですが結構高い・・・何かいいものは無いかとみていると既に製造中止ですがDR-GA500というPCと親和性高そうなヘッドホンがあります。
アナログ7.1ch入力という珍しいものですがPCのサウンドカード出力に合います。
お値段もそれほど高くなく、製造中止だけどamazonでまだ購入出来そうです。
それになんとなくいじり回せそうな気がしますw

ちなみにドルビーヘッドホンを試したい場合は上記メーカのサラウンド製品を買うのもアリですが、ASUSのXonarシリーズにも付いてるのでPCのサウンドカードというのもアリです。

2013年5月24日金曜日

LV-1.0 (4) ちょっと改造

一通り紹介が済んだところで組立ですが、いかんせんフツーのコンデンサとか気になって仕方ありません。
ぶっちゃけ音良くなるとかどうこう以前に変えないと気が済みません。

というわけで組み立てる前に部品交換です。素の音とかしりません~
ボリューム基板はコンデンサをOSコンに交換しちゃいます。
5V系は1500uF/6V、12V系は1000uF/16Vです。耐圧に余裕がないのでオススメはしません。
またC4,C3はデカップリングコンデンサですが、特にDCは漏れてないので思い切って無しとしました。
パワーアンプの電源基板のコンデンサはニチコンのMUSEに変更。4700uF/35V
DC/DC電源基板のコンデンサはニチコンのオーディオ用KTコンデンサとLF(固体)コンデンサに変更。青いKTがお気に入り
パワーアンプも同様にコンデンサをKTに。
フィードバック抵抗はタクマンのRLCに(抵抗1本\100とか…たっかい)
本当はLCフィルタを8Ω負荷に合わせて変えたかったけど、ちょうどいいLとCが入手出来そうに無かったのでこのままで。

正直なところ、コンデンサを交換することで大きな音質変化は期待していません。
分かる人もいれば分からない人もいる。そんな程度です。
でも基板の見栄えがとても良くなったので気分的にとてもいいですw

LV-1.0 (3) 各基板紹介

各基板の紹介です。
基板は全て実装済みで、そのまま組み立てるだけなら手を入れる必要はありません。
ちなみにトラ技のHPにある各基板紹介はプロトタイプのようで実際に販売しているマルツ製品とは違います(いいのかトラ技)

システムマイコン基板 LV1-SMBM
OLED(有機ELディスプレイ)が付いています。マイコンはCortex-M3 ARMマイコン LPC1343
開発ツールが無償で公開されているので扱いやすいマイコンです。

DC/DC電源基板 LV1-DCDCM
DC/DCとありますが実際にはAC18V入力です。±12Vのレギュレータが2系統と5Vのスイッチングレギュレータ回路1系統を一つにしたものです。
高価な基板キットの割に電源はフツーです。

AC/DC電源基板 LV1-ACDCM
ブリッジダイオードと平滑コンデンサだけのシンプルな電源基板、パワーアンプ用です。
使われているコンデンサはフツーのコンデンサです。

USBインタフェース基板 LV1-USBIM
本機のキモ、というか一番面白い部分。USBインタフェース基板です。
USB制御はFX2マイコンで行い、FPGAで差動I2Sに変換しています。
デジタル入力もあってSPDIFのレシーバにAK4118Aが使われています。
ちなみにこの基板の設計はUSB AUDIO基板で有名なElectrArtさんです。

DAC基板 LV1-DACM
ある意味無難だけどあまり面白みの無い部分。DACです。
PCM1795をソフトウェアモードで使っています。
I/VとLPFはNJM2114が使われています。
赤いWIMAのフィルムコンデンサが目を引きますが、それ以外の電解コンデンサはフツーです。
ちなみにI/V手前とLPF出口に4pinのヘッダコネクタがあり、その気になればI/V部分を自分で設計して差し替え出来そうです。
あと別にいいんだけどオペアンプにパスコンがないよ…

ボリューム/メーターアンプ基板 LV1-VOLM
電子ボリューム基板。
電子VRにはシーラスロジックのCS3310が使われていて音質的に期待出来そうです。
あとマイコンでレベルメータ表示を実現するためにメータアンプが付いてます。
トラ技の基板紹介ではこの基板がかなり違います。

パワーアンプ基板 LV1-PWAM
定格出力4Ω負荷で100Wというパワフルなデジタルアンプです。
1枚で1chで本機にはこれが2枚使われています。
効率が95%にもなるため、発熱源であるMOS-FETの放熱は基板パターンのみとなってます。
(フルパワー100Wを連続運転すると5W発熱するので基板放熱だけでは持たないでしょうが、実際にフルパワー出力をずっと続けることはないので問題ありません)
コントローラはIRS2092、MOS-FETはとIRF6645です。Direct-FETとかいうパッケージのようで特殊なパッケージになっています。
基板は基本的に面実装部品ばかりですが、音質に影響の大きいフィードバック抵抗はラジアル抵抗になっていてコダワリで交換しやすいようになっています。

ヘッドホンアンプ基板 LV1-HPAM
オペアンプを使わずディスクリートで組んだヘッドホンアンプ基板です。
この基板だけ買って単独でヘッドホンアンプ作っても面白そうです。
音質に影響を与えやすい終段のトランジスタのエミッタ抵抗を無くすためにトランスリニア・バイアス型という回路構成を採用しています。
…基板パターンは左右でch毎に分かれて美しいのですが、空きスペースの割にGNDのパターンが少なすぎるように感じるのは自分だけでしょうか。
また出力のDC保護やポップノイズ対策は本基板にはありません。
トラ技の連載で紹介されていましたので、後で自分で付けないって事でしょうかね。

基板は以上ですが、こうしてみると赤い基板やら青い基板、黒い基板、白い基板とバラバラで統一性無いですね。せめて同一セットなんだからこの辺りは統一して欲しかったです。

LV-1.0 (2) 到着

というわけでまずは物の確認です。

LV-1.0自体はコンパクトですが一式で買うとこんなでっかい箱で届きます。

空けるのが楽しみです。

中身はこんな感じで各基板毎にパッケージされてます。
全部開封していくだけでちょと手間です。大量の梱包ゴミが・・・
当然ながらマニュアルも各基板毎に付いてます。
セットパッケージならもうちょっとスマートにしてほしいです。はい。