2015年9月26日土曜日

DAP紹介(4) AK380

さて・・・Sony製品のラッシュの後は他社製品の紹介です。
先日購入した超弩級プレイヤーの紹介です。



AK380 スペック
OS:Androi(Version不明)
CPU:非公開
RAM:非公開
ストレージ:256GB(SDカードで拡張可:最大128GB)
電池容量:3400mAh
外形寸法:79.8×112.4×17.9mm
重量:230g
操作:4.0型タッチパネル+側面ハードキー(3個)
再生動作時間:10時間
DAC:AK4490 ×2(Dual DAC)
ヘッドホン出力:アンバランス(2Ω)/バランス(1Ω)
ライン出力:あり(イヤホン出力と兼用)
デジタル出力:光デジタル出力(イヤホン出力と兼用)
Bluetooth:Ver4.0 A2DP(SBC,apt-X)/AVRCP
再生フォーマット:WAV, FLAC, MP3, WMA, OGG, APE, AAC, ALAC, AIFF, DFF, DSF
(サンプリング周波数:320k/32bitまで対応。DSD128までネイティブ対応)
エフェクタ:イコライザ20バンド

ルックス
筐体はジュラルミン(アルミ合金)で濃いブロンズ色に統一されています。
表面は金属質な上品さがあり、他のAKシリーズとはひと味違う風格があります。
(個人的にはAK240以前のデザインは好きになれなかったのですがAK380は結構好みです)
見ての通り、左右非対象の独創的な恰好をしています。角をそれなりに出してるのでシャープなイメージが強く、光の陰影がちょうど立体の面を光らせるように見えるので、ポリゴンちっくな立体美を感じます。
近未来的なイメージです。
(角が出ているため乱雑に扱うとすぐ塗装が剥げてきそうで心配ですが)
操作ボタンは左に3つと上部に電源スイッチ、左にボリュームエンコーダがあるのみでシンプルです。

USB端子は下部にありカバーなどはありません。その横にアナログ出力端子があり専用のドッキングアンプと繋がるようです。カバー付けないとここ剥き出しなんですが、誘導ノイズとか大丈夫なんでしょうかね?

ヘッドホン出力は上部です。バランスとアンバランスがあり切替は自動です。
プラグ形状は「普通」です。Sonyの様なごつい真鍮パーツなどはありません。なんとなくここが少し高級感薄れる部分です。別に音質にどうこうあるわけでは無いので構わないのですが。

背面はカーボン調になっておりロゴが上品に飾られています。メーカ名を大きく出さず、ブランド名をしっかりとデザインに生かすというのは好感が持てます。(別にiriverが嫌いとかじゃありません(笑))

ハードウェア
いろいろぶっ飛んでる本機です。特徴をいくつか紹介したいと思います。
基本的なCPUやらRAM容量については全て非公開です。少し寂しい気がしますが本機を使う上で特に知っておかないといけない内容ではありません。分解写真も見当たらないので後日分かったら追記しようと思います。
ストレージは256GBとハイレゾ音源を入れるのに頼もしい容量です。SDで拡張出来るので容量に困ることはまずないでしょう。
では特徴的なポイントをいくつか紹介です。

DAC
デジタルプレイヤーの命であるDAC(Digital Analog Converter)には旭化成の最新機種であるAK4490を左右独立して1基ずつ搭載しています。AK4490は旭化成の中でもVELVET SOUNDアーキテクチャを採用したプレミアムDACとして位置づけられている完全32bit処理のハイエンドDACです。(Phile-webに掲載されている開発者のこだわりがとても参考になります)
元々AK4490はステレオについてかなり配慮された作り(L/R独立で電源ピンを持つなど)ですが、これを左右1基ずつ独立にして、更にGNDもL/R独立で分けるという贅沢な設計をしています。
旭化成の技術の言う「風のような低音、究極的には感じる低音」がAK380から聞こえるかどうか非常に楽しみです。

クロック
クロックは一系統ですが超低ジッターVCXOを搭載しています。クロックジッターは200Fs(フォムト秒)という驚異的な低ジッタークロックです。フォムトはナノよりも6桁低い単位です。
ジッター無い事に越したことはありませんが、はたしてここまでの精度のクロックがどれだけ音に影響するのかはよく分かりません。実際ここまで精度のVCXOだと制御電圧のコントロールも凄い精度を要求されるので部品よりも基板のパターンや周辺回路の設計がもの凄く難しそうです。
(AK380のスペックとしてのクロックジッターは30psです)

専用DSP
EQ(イコライザー)程度の演算であればCPUで可能ですが、マルチタスクOSを搭載している関係上どうしても処理速度が揺らぐため定周期に同じ演算を行うような処理を行うと、プライオリティの高い処理に処理時間を奪われてリアルタイム応答が間に合わなくなる場合があります。
ハイレゾ音源などはCD音源の2~8倍以上のデータ量があるため、CPUで処理を行うと当然ながらかなりの負荷になります。結果としてユーザインタフェースの応答性を犠牲にしたり、画面処理を遅らせるなどの処置が必要になります。またCPUの処理が重いと動作クロックも上がってしまうため消費電力が増えデジタルノイズ増加の原因となります。(ハイエンドDAPでも小さな音でチリチリというパルス状のノイズが聞こえる事がありますが、これらは上記原因が主な原因です)
こういった対策のためCPU回路周囲をシールド板で被うなどの対策しているものが多いですが、小型化が要求される基板で貴重な基板面積をデジタル系で占有させてしまうため(CPU裏面のエリアもノイズ源になるのでチップが置きにくい)各社ともノウハウを持って苦労している部分のようです。
前置きが長くなりましたが、AK380ではCPUでこういった処理は行わず専用のAudio-DSPを搭載してデジタルオーディオ処理は全てDSPで行う構成を採用しています。CPU処理を軽減する構成としてはいいと思いますが欠点もあります。
・DSPを搭載する回路面積が必要。
・消費電力、コストが増加
・デジタルノイズ源が増える
主にコスト面と消費電力を天秤にかけるとCPUで出来る事をわざわざ外付けチップで行うメリットは一言で言えば「性能と品質」と言えるでしょう。AK380は天井知らずのコストなので(笑)積まない理由はありません。
またこのDSPでは主にPEQ(Q値が調整できるパラメトリックEQ)とボリューム制御を行っています。
Astell&KernのDAPは伝統的にボリューム制御はDACで行う事が多いですが、AK380では専用DSPで行うようです。DSP自体は192k/24bitまでの対応らしく32bit音源やDSD音源にPEQは掛けられません。
DSPを使っている事で期待できるのが、後々のファームアップデートで高音質化に繋がるエンジンが追加されるかもしれないという点です。例えばCD音源をハイレゾ相当にアップサンプリングするような処理などですがこれらは重い推測演算が必要なのでCPUで処理しきれない場合がありますが、DSPがあれば処理を全部こちらに任せる事が可能です。個人的にはこのDSP積んでる部分が非常に好感持てます。どうにもCPUでリアルタイム音声演算を行うという部分がハイエンドらしからぬ印象を持っていたので。(AK240とか)
他にもDSDとPCMの処理切替をどうやっているのかなど、気になる部分はありますが流石にそこまで説明された文献は見当たらないのできっとこの「魔法のDSP」でうまいことなんとかしてるんでしょう(笑)

アナログアンプ部分
この辺りは全然情報がありませんが、製品説明会では「デュアルDACとバランス出力との組合せでグランドまでL/R分離のTureDualモノラルDAC構成となる」と説明されてました。
知りたいのはソコじゃなくてアナログ回路なんですけどね・・・上の説明だとAK240なんかと同じなんですよね。DACが違うだけで。(240の時もアナログ回路はブラックボックスとか言ってましたし)
バランス出力アンプとアンバランス出力アンプはそれぞれ別々に持っているようですが、DACは共通なのでアンバランス接合部分でのGND配線をどう行っているのか興味沸くところです。
アンプの回路自体は(音を聞いた感じでは)どちらもディスクリートではないかと感じます。
またラインアウトはありますがヘッドホン出力との明確な区別はなく、ライン出力をオンにするとボリューム最大で出力するようになります。(従来のAKシリーズと同じ)

USB-DAC機能
AK240同様、AK380にもUSB-DACになる機能があります。メニュー設定でMTP接続かUSB-DACかを切り替える事が出来ます。 おそらくUSBラインをCPUかUSBレシーバのどちらかへ切り替える処理を行っているのでしょう。USB-DAC性能としては384kHz/32bit、DSD128まで対応しています。
この部分も公開資料がないので分かりません。AK240ではDSDネイティブ再生のためにXMOSチップが採用されていました。AK380はDSPを積んでいるのでXMOSは使わずDSP単体で処理してるかもしれません。
(なんとなく採用実績重視でXMOS積んでる感じしますが)
またWindowsのドライバーは通常のDirectSoundの他にKernel Streamingにも対応しています。foobar2000などでKSドライバーが選択できるので高品位な再生が可能です。
逆にUSB接続でUSB-DACを繋ぐ事は出来ません。(本機に関しては意味無さそうですが)
デジタル接続したい場合はステレオミニジャックから光出力が出来るのでSPDIFで繋ぐ事が可能です。
またSPDIFでDSD方式のデータを取り扱うことが出来ないので光出力でDSDストリームは出せません。(光出力の際にDSD再生すると、PCM176.4kHz/24bitに変換されます)

ソフトウェア
OSはAndroidですが徹底的にカスタムされていて、普通のAndroidスマートフォンのような使い方は出来ません。(ストアも使えない)
ホームアプリのようなものも無く、ホームアプリが再生プレイヤーそのものになっています。なので仮にHackなどでADBが使えるようになったとしてAndroidアプリをインストールしても起動する術がありません。(この機種関してはする人いないと思いますが(笑))
起動時間はおおよそ1分程度でしょうか。早くも無く、遅くも無くといったところです。
デフォルト設定で30分無動作で自動シャットダウンが有効になっています。電池消費大きいのを防ぐためと思いますが、いざ使おうと思ったときに電源切れてると1分待たないといけないのが面倒です。
(勿論オフにも出来ます)

再生プレイヤー
プレイヤーとしては特に使いにくい部分はありません。音楽ファイルはPC繋いでファイル転送しておけば、自動でタグなどを認識してデータベースを更新してくれます。(タグ解析が異様に速い)
60GB程度音楽ファイルを転送してみましたが、特に動作が緩慢になるようなこともなくさくさくと動いています。少しメニューアニメーションの動きが遅く感じる事がありますがその程度です。
カテゴリは アルバム、アーティスト、ジャンル、フォルダからソートできます。この他にもプレイリストとストアがあります。(ストアに関してはGroovers+が2015/9時点でまだ日本ではサービス開始していないようです)
プレイリストは基本的に本体でポチポチ作りますが、 本体フォルダのPlaylistsフォルダにm3u形式で作られるだけなので、分かってる人ならPCなどで作ることも可能です。
面白い機能に曲選択フィルタに周波数や形式による条件を加えられる事です。これによりDSDやMQS、ハイレゾ音源だけを聴きたい時など重宝します。

AK Connect
便利な機能の一つにAK380を外部からコントロール出来るようになるAK Connectがあります。
専用設計の特殊なものではなく、AK380がDLNAサーバになりネットワーク経由で外部のDLNAクライアントから操作できるというものです。
DLNAについては詳細省きますが、この機能を勘違いしてる人もいますので少しだけ注釈。

・AK380を「リモートコントロール」出来る訳ではありません。AK380の操作ボタンや画面操作をスマホから遠隔操作できるものではありません。
・AK380の「DLNAサーバ」にアクセスして再生操作をスマホのDLNAクライアントアプリから行えるだけです。従って再生中にスマホのDLNAクライアントを終了させるとAK380で再生中の曲が終了すると次の曲の再生は行われず停止状態になります。

このDLNAですが、AK380とスマホをWifiで繋いでお互いがIPアドレス使ってアクセス出来る事が条件です。具体的にはスマホ側をWifiデザリング状態にしておきAK380をそれに繋ぐか、Wifiルータなどに繋ぐかです。
Wifiデザリングは機種によってはホスト側がクライアントから見えない事もありこの場合は操作出来ません。
(確認に使ったXperia Z Ultra(SOL24)はデザリングで認識して操作出来ました)

DLNAサーバはNASなどに付いている事が多いですが、音楽ファイルのタグが文字化けしたり形式によっては認識出来なかったりと、個人的な印象ではあまり安定して使えないというイメージでした。
しかしこのAK Connectは素晴らしい。AK380で操作している内容と全く同じ表示がクライアントから確認出来ます(プレイリストまで見える)ボリュームまでコントロール出来るのは驚きました。
動作、認識も安定しています。

発売予定のクレードル(2015/9時点ではまだありません)をホームオーディオに繋いで、操作はスマートフォンやPCから行えると最高に使いやすそうです。

音質など
もう一言です。
凄くいい!
でもこれじゃ分かんないですね(笑)
元々NW-ZX2を使っていてAKシリーズは初めてです。なのでAK240などとの違いはあまり分かりません。
どうしてもWalkmanとの比較っぽくなりますがご容赦を。
視聴に使っているイヤホンはいつもどおりK3003です。ケーブルはwhiplashです。

まず残留ノイズ。ホワイトノイズですが「全く」聞こえません。
いやもう笑うほどノイズレスです。イヤホン繋いで電源入れても入れたことが分からないくらいです。
バランス、アンバランスともに確認しましたがどちらもノイズは聞こえません。

聴いてまず感じるのは音のキレの良さです。
解像度が高いとか音場が広いというのは「当たり前」で、高音も低音も非常にはっきりと聞こえます。
ボワつきというか曇ったような感じが全くありません。
キレがいいので元気な音に聞こえますが、決して荒々しくなく実にリッチに表現します。
低音の量も多すぎなく、不足もしておらず深く重い低音の音もしっかり出てきます。
弦楽器の「ギュー」という音が低域までしっかり出てくるので凄く深いです。
難しい低音の音場定位も崩れずよく分かります。
中域のボーカルも艶めかしく、息づかいが耳元で聞こえると思わずゾクっとします。
距離も遠くなく近すぎでもなく、楽器が綺麗に分離して聞こえるのでボーカルが全体の中でどこに位置しているのかよく分かります。目の前にライブステージがあるような錯覚すら受けます。
高音は立体感が素晴らしい。特に残響やリバーブといった反響した音が響きとして遠くから聞こえながら解けるように消えていく感じがたまらないです。

なにより一番気に入った、というか惚れ込んだのが静寂感の表現です。
限りなく無音に近い音の中で楽器の生音や風の音だけが空間に響いて解けるように消えていく。優れたダイナミックレンジとノイズフロアの低さがないと表現出来ない「音場」です。DACの所でもありましたが、風のような空間的な音の実にうまく表現出来ていると思います。

正直なところ、欠点が見当たりません。
イヤホンも機種を選ばずどんなイヤホンでもしっかりと鳴らします。K3003もそうですが、MDR-EX1000も特徴をそのまま出します。
また音源によっては残酷なまでに差を出します。mp3やAACなど256k以上のビットレートでエンコードすると元曲との違いが普通はほとんど分からなくなりますが、AK380で聴くとその差を音場表現で分かってしまいます。
このため「昔のmp3だから128kでエンコードしてるけど聴ければいっか」の感覚で128kbpsの音源を聴くと、flacや高ビットレートの音源との音質差を否応なく感じてしまい切なくなってしまう一面もあります。

まだ使い始めて1月も経ってないので、いずれ見えてくる部分もあるでしょう。
改めて数ヶ月後に使用レポートをしたいと思います。


気になる点
ありますよね。うん。気になる所がない機種なんて無いんです(笑)

1.お値段
なんていうか・・・ZX2の時に「高すぎ」と書きましたが、AK380からみたら大した事ないですね(汗)
異常です。クレイジーです。高すぎというより何にコスト掛けたらこんだけ高いんだ、と。
定価499,980円!
ケタ間違ってません。50万一歩手前です。
普通の人には信じられない値段だと思います。
こんなDAP買う方も何かネジぶっ飛んでると思います。いやぶっ飛んでます( ゚∋゚)
xxxが何台買えるとか、車が買えるとか、比較しちゃ駄目なのです。なのです。

2.安定性
基本的に安定してます。していますが、希に再起動しないと直らない状態になることがあります。
・AK Connectが繋がらなくなる(Wifi OFF/ONやAK Connect OFF/ONでも直らない)
・曲選択のフィルタで最低周波数を48K~とかにしたままにしてると、本体再生/AK Connectで44.1kのファイルを再生しても音が出ない事がある(曲選択のフィルタをリセットしても直らない)
どれもソフト的な問題なのでいずれ直るでしょう。

3.曲データの転送
知ってれば何も問題はありませんが、知らないと困る部分です。
基本はPC繋いで曲ファイルをMusicフォルダにコピーするだけです。
これだけなので、PCに詳しい人はシンプルでいいと思いますが統合ソフトに慣れた人には少しハードルがあるかもしれません。
そうなのです。AKシリーズにはPCの統合管理ソフトが(Windows,Mac問わず)無いのです。
これだけ高いのですからせめて管理ソフトくらいは用意すべきではないでしょうか。

ちょっと裏技的な使い方ですが、SonyのMedia Go(Walkmanの転送ソフト)でAKシリーズにファイル転送出来ます。転送どころか管理まで出来るのでまるでWalkmanのように(笑)AK380を使う事が出来ます。
デフォルトでは”ハイレゾ音源の変換”がオンなので設定でオフにしてあげると、moraで購入したハイレゾ音源をそのままMedia GoからAK380に転送出来ます。
これは中々便利です。Media GoはFlacのエンコードやタグ付けなども出来るので、AKとの相性も抜群です。管理ソフトで何かいいものを探しているのであれば是非試してみて下さい。
(Media Go自体は無料で使えます)
こんな感じで(AK380の名前は自分で設定しないと駄目ですが)認識されてます。
”ハイレゾオーディオを変換しない”とすればそのまま転送されます。
Media Goって結構いろんなDAPと相性良かったりします。(これでSony ASIO以外も再生に使えれば言うこと無いんですが)

iTunes?しらんがな(←アンチApple派)

4.バッテリーの持ち
ある意味仕方ないんですが、3400mAhという巨大なバッテリーを持ちながら(でかい重いといわれたNW-ZX2の倍あります)10時間しか持たない燃費の悪さはいかんともしがたい部分です。
DSPやDual DAC、バランス回路など消費電力多い回路が多いので仕方ないかもしれません。
音質とのトレードオフでしょうか。不満ではありますが、10時間も再生出来れば・・・とも思えたりします。
またこのバッテリーの大きさのせいで充電が長い!充電には大電流充電できる電源を用意しましょう。

5.動作中の”熱”
再生中は結構熱持ちます。胸ポケットにいれておくと暖かいなと感じるレベルです。
電気消費してるんだろうなぁ、と。心理的に電池持ち悪そうだなぁと思ってしまいます。

6.重さ
重いです。ずっしり230g。
でもそんなに「ずっしり」とは感じません。手の中にフィットします。
凄く重いと感じたNW-ZX2と同じ重さなんですよね。これ。
でもAK380の方が軽く感じます。筐体のデザインのせいでしょうね。
AK240SSほど重くはありません。あれは凶器です('A`)

7.プレイヤーでのジャケット表示
細かい箏ですがプレイヤーでのジャケット表示(アートワーク)が、どんな比率の画像でも真四角のアスペクト比で表示されてしまいます。AK240でもそうらしいのですが、もうちょっとなんとかして欲しい部分です。

8.付属カバーを付けるとサイドの3つのボタンが押しにくい
これまた細かい箏ですが付属のいい感じの革カバーを付けると、サイドの操作ボタンが押しにくい。
慣れでしょうか。ボタンが小さいというのも操作に慣れが必要っぽいです。

総評
今までWalkmanばかり使い続けてAKシリーズは今回が初めてですが、想像以上にしっかりとした出来でした。
IRIVERというメーカをずっと「高級オーディオメーカ」という見方が出来なかったのですが、AK380の完成度は高級オーディオに相応しい、それ以上のクオリティ(と値段)があり高級オーディオメーカとして十分通用するだけの製品を出してきました。
ポータブルでこの音は凄いの一言です。それなりのイヤホンは必要ですが、高級オーディオショールームで聴く上品でダイナミックな音をこの小さなDAPで何処でも聴くことができます。

間違いなく、現段階で最もハイクオリティなDAPと言えます。
あり得ない価格ですが、この音に取り憑かれるとその値段も納得しそうになります。
オススメはまず出来ません。してもきっと買わないでしょう(笑)
でも今持ってるDAPがハイエンドで不満があるなら一考の価値あります。

これがあればポータブルアンプも不要です。
え?専用アンプ?10万デショ。ご冗談を。HAHAHA

2015年9月23日水曜日

DAP紹介(3) NW-M505

ハイエンド続いたのでエントリーモデルの紹介です。
1台持っておくと便利。スティックウォークマンです。



NW-M505 スペック
OS:不明(組み込み用OS?)
CPU:不明
RAM:不明
ストレージ:16GB(SDなどで拡張不可)
電池容量:不明
外形寸法:85.5×21.3×19.9mm
重量:40g 表示:3行表示有機ELパネル
操作:ジョグダイアル+ハードキー(4個)
再生動作時間:15時間(レシーバ使用時10時間)
DAC:アンプと一体型のS-Master MX
ヘッドホン出力:シングルエンド, 10mW+10mW(16Ω)
ライン出力:なし
デジタル出力: なし
Bluetooth:レシーバー機能 A2DP(SBC,AAC,apt-X)/AVRCP/HFP/HSP
再生フォーマット:mp3,wma,ATRAC,wav,AAC
(サンプリング周波数:44.1k/16bitまで対応。ハイレゾ再生不可)
エフェクタ:イコライザ5バンド、クリアフェーズ、クリアベース
その他:FMラジオ、デジタルノイズキャンセル(専用のマイク端子付きイヤホンが必要)

ルックス
スティック型の小型ウォークマンで色は4種類。写真は黒ですが銀、紫、ピンク(?)があります。
(紫買えばよかった・・・ちょっと後悔)
ジョグダイアルはクリアパーツで出来ていて高級感があります。
有機ELディスプレイは明るく視認性も良好です。
背面にクリップが取付可能で服のポケットなどに止める事が可能です。
形が正方形を長くしたような感じなので、ポケットに収めるとコロコロと動いて少し収まりが悪いです。

ハードウェア
Androidではないので性能的な内部スペックはあまり意味はないでしょう。
ストレージは16GBと少なめですが、本機はBluetoothレシーバーになるという大きな特徴があります。
このお陰で16GBの容量はそれほど気になりません。スマートフォンと繋いでレシーバとして使えば高音質なレシーバーとして利用可能です。むしろこの使い方がメインではないでしょうか。
この大きさでS-Master MXを搭載していてエントリーモデルらしからぬ高音質です。
ウォークマンとしては尖ったスペックはありませんが、強力なノイズキャンセルなど手堅くスペックが固まっていて使いやすさと高品質の両立が出来ています。
ちなみにエフェクタはレシーバ機能時には使えません。ノイズキャンセルのみ使えます。
オマケのようにFMラジオが付いていますが、ほとんど使ってないのであまり感度とかは分かりません。
ノイズキャンセルは専用の集音マイク付きイヤホンを繋いだ時のみ使えます。(付属)
これがまた特殊で5極プラグです。
このプラグにどんだけ端子追加するねん!と言いたくなりますが(笑)
しかしこのプラグが刺さるジャックに普通のステレオミニプラグが繋がるので不思議です。
並べるとこうです。
なんかこれでL/R/GNDがちゃんと繋がるのか微妙に心配です。
ジャックが分解出来たら是非構造を見てみたいです。


ソフトウェア
電源オフからの起動は5秒程度。汎用OSを搭載してないせいか起動はとても高速です。
前回終了時の状態を覚えていてレシーバモードであれば電源オンでホストと接続します。
プレイヤーは可も無く不可も無くといった所で、特に不満も無ければ特徴もありません。
音楽ファイルはMedia goで転送してもいいですが、普通にファイル転送でコピーでもOKです。
再生はフォルダ単位で再生出来ます。”一つのフォルダ再生終わったら次のフォルダを再生”も出来ます。
(これ最近のAndroidウォークマン出来ないんですよね。なんでだろう)
また一部のイヤホンセットに特化したプロファイルを持っていて、それに合わせた音質調整設定が可能です。

音質など
感度いいイヤホンでもホワイトノイズは皆無
音質はZX1と似ていて全体的にハキハキしていてクリア。普通にいい音です。
高域、低域の感度がいいので少しドンシャリに聞こえます。
高級な音?には感じません。この微妙な雰囲気がS-Master MXとHXの差なのかもしれません。
(それとも出力に大きめの負荷抵抗でも繋がってるんでしょうか)
ウォークマンとしての再生品質は上々でしょう。値段以上にいいものです。
ではもう一つのBluetoothレシーバーとしての音質はどうか?
Bluetoothレシーバーはいくつか購入しましたが(有名なのはMW600など)、どのレシーバーでもホワイトノイズに悩まされ「無音」というものはありませんでした。
ところがこのM505、ホワイトノイズは全く聞こえません。
正直これは凄いです。長年探していた理想的なレシーバです。素晴らしい。

M505はS-Masterのおかげで音質はとても明瞭。電池持ちもとてもいい。
スマートフォン本体に有線接続するよりもM505で無線接続する方が音がいいと感じると思います。(あくまでも”普通の”スマートフォンで、ですが)

ではM505でウォークマンとして再生するのと、スマートフォンからレシーバとして再生するのはどう違うか?
スマートフォンで再生する音楽ファイルをM505にも転送して聞き比べてみました。
送信用スマートフォンはXperia Z UltraでA2DPコーデックはapt-Xです。

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Bluetoothで音楽を飛ばすとSBCやapt-Xなどの「非可逆圧縮」で音質劣化を起こすため、スマートフォン本体にイヤホンを有線接続した方が音がいい場合が多いのが一般的です。例外的に再生ファイルがAACフォーマットでA2DPをAACで伝送できる場合のみ、レシーバーの仕様にもよりますがAACのストリーム転送と同じになるので最も理想的な伝送になります。(iPhoneが出来るはずですが持ってないので分かりません)
****

結論から言うとM505で再生する方が音はいいです。当たり前ですね。apt-Xのエンコードが無いのですから。
Bluetoothレシーバーとして聴くとM505再生より音が全体的に曇った感じになります。
もっともこれは「聞き比べ」をして初めて分かる違いです。普通に使う分には分からないでしょう。
(ハイエンドDAP&高級イヤホンの高解像度の音に耳が慣れてしまうと否応にも分かってしまいますが・・・)

あとはノイズキャンセル。
Sonyが誇るデジタルノイズキャンセルは「凄い」です。何が「凄い」というと電車などで耳障りなゴーという騒音のみを打ち消すノイズカットレベルが凄いです。数世代前のアナログノイズキャンセルとは比較になりません。笑うほど綺麗に消えます。オバチャンの甲高い声はキャンセル出来ませんが。
またノイズキャンセル特有の圧迫感がほとんど無いのもポイントです。
専用のマイク付きイヤホンが無いと使えないため、音質に拘るイヤホンを使えないのが欠点です。
またノイズキャンセルを使うと消費電力も増えてしまい電池持ちが悪くなります。

音質とのトレードオフですね。

気になる点
割とベタ褒めの本機ですが気になる点はあります。
まず充電端子のMicro-USB端子。
充電の度に結構硬いカバーを外さないといけません。またこのカバーが軟質プラスチック?のようなもので耐久性に難アリです。長期間使用しなかった際に硬質化して割れてしまうのではないかと心配です。
次にはBluetoothの再ペアリングが遅い。スマートフォンのBluetooth有効にしてからM505の電源入れると繋がるまで30秒以上掛かる場合があります。(たぶんこれはスマートフォン側の仕様も絡むと思います)
他にはウォークマンとしての対応ファイルにflacがない。Apple loslessもだめ。可逆圧縮フォーマットが使えないのが少し残念です。
あと、あまりする人はいないと思いますがヘッドホン出力をヘッドホンアンプなどのライン入力に繋ぐと「ジー」というノイズが出る事があります。ハイインピーダンス駆動には向いてないのかもしれません。

総評
低価格(これを書いてる時点で1万ちょっとで購入できます)ウォークマンとしても、高性能Bluetoothレシーバーとしても優秀だと思います。
軽いので持ち運びも荷物になりませんし、ストラップ付ければ首掛けも可能です。
ノイズキャンセルも圧迫感少なく実用的なので「音質に凄い贅沢」を求めなければオススメです。

DAP紹介(2) NW-ZX2

次はNW-ZX1の後継、NW-ZX2です。
記事執筆中(2015/9)の時点でWalkmanの中で最高級機種に相当します。



NW-ZX2 スペック
OS:Android 4.2
CPU:Ti OMAP4 Dual-Core 1GHz
RAM:2GB
ストレージ:128GB(SDカードで拡張可:128GBまでは確認済み)
電池容量:1860mAh
外形寸法:64.7×130.4×16.2mm(最薄部:14.0mm)
重量:235g
操作:4.0型タッチパネル+側面ハードキー(六個)
再生動作時間:60時間
DAC:アンプと一体型のS-Master HX
ヘッドホン出力:シングルエンド, 15mW+15mW(16Ω)
ライン出力:あり(Dockコネクタ)
デジタル出力: USB-AUDIO接続(Dockコネクタ)
Bluetooth:Ver3.0 A2DP(SBC,LDAC)/AVRCP/OPP/HID/SPP
再生フォーマット:DSD,mp3,wma,ATRAC,wav,AAC,FLAC,Apple lossless,aiff
(サンプリング周波数:192k/24bitまで対応。DSDはPCM変換再生)
エフェクタ:イコライザ5バンド、 DSEE HX

ルックス
重みのあるアルミ削り出し筐体は黒く統一されシンプルな美しさがあります。
ZX1のスッキリとしたイメージはなくどっしりとした高級機の貫禄があります。
背面はラバー仕上げで滑りにくくなっており、ZX1からの段差も健在です。

ヘッドホンジャックの巨大な真鍮パーツはZX1より更に大きくなりました。
筐体分厚くなったのに真鍮パーツも大きくなったので出っ張りも健在です(笑)
これそんなに大きくして意味あるんでしょうか・・・?



サイドの操作ボタンは大型化されて押しやすくなった反面、もの凄く「ダサく」なりました。
特に音量の+と-の文字サイズはあり得ないです。なんでこんなに大きいんでしょうね。

デザイン的には全体的にずんぐりむっくりしています。
ZX1を所有していたのでどうしても比べてしまいますが、ZX1のシャープな格好良さはありません。
側面のラウンドデザインは筐体を妙に大きく見せてしまう上に高級感が削がれます。
表面がさらさらしているため滑りやすく「重いのに持ちにくい」という、あまり良くない感触です。

仕上げや個々のパーツはよく吟味されていて高級感はありますが、個人的にはデザインは正直好みではありませんでした。
同時期に発売されたPHA-3も似たようなデザインなので共通のデザイナーかと思いますがSonyらしいデザインではない様に思います。

ハードウェア
ZX1からスペックは大きく変わっていません。
CPUは同じです。RAMは2GBに増えました。
ストレージは128GBのままで、SDカードが使えるようになった事が大きな改善点です。
あと本体スピーカが無くなりました。(いいのやら、よくないのやら・・・)
ZX1の欠点だったバッテリー容量はほぼ2倍になり動作時間はかなり延びました。
主たるS-MasterはZX1から変わっていませんが、細かい部分でかなり改良が加わっています。

・シャーシをアルミと金メッキ銅板のハイブリッド構造に変更
 GND/アースの強化でしょうか。安定した低音が見込めそうです。
・新開発のバッテリーパック搭載
 ZX2専用にバッテリーパックを専用開発しています(異様なコストはこういうとこに出てるんじゃ…)
 低抵抗化(ZX1の半分の19mΩ)、大容量化(1860mAh)とありますが、専用設計までして拘る部分だったんでしょうか?電源は大事ですが電池の内部抵抗の影響は微々たる物で少し疑問です。
・電源に電気二重層コンデンサを追加
 S-MasterはD級アンプなので低周波駆動に瞬間的な電流を要求します。
 補助的な電力備蓄でしょう。本当は大容量の電解コンデンサを積みたかったんだと思いますが・・・
 電気二重層コンデンサは内部抵抗が高いため充電が遅く、電源インピーダンスも高いのでオーディオにはあまり使われません。音にどう影響あるのか楽しみです。
・プリント基板に厚膜銅箔プリント基板を採用
 これも主にGNDの強化がメインでしょう。ZX2は徹底して安定性を重視した設計の様に思います。
 GND面積も2倍だそうです。
・ヘッドホン出力ジャックを4極化
 これは後ほど・・・通常の3極から4極になっています。
 このため見た目はZX1ではスリーブ(ジャックの根元部分)まで金メッキ部品があったのがZX2では根元はプラスチックのままになっています。
・2系統のクロックを搭載
 44.1k系と48k系に別々のクロックを搭載しています。44.1/88.2/176.4kと48/96/192kの2系統のマスタークロックを切り替えて安定したシステムクロックを供給出来る、らしいですがよくよく考えると48k系はあまり音源ソースが無いんですよね・・・2相クロックを搭載することでお互いに干渉し合わないか不安の残る部分ではあります。
・オーディオラインの最適化
 ヘッドホン出力のLCフィルタに大型コイル、フィルムコンデンサを採用。デジタルアンプにとって最終段のLCフィルタは音質の命とも言えるので、ここはZX1との音質改善に大きく期待出来そうです。
 
WM-portなどの仕様は特に変わりなし。互換性の低いUSB-AUDIOもZX1と変わりません。
ラインアウトなども全く同じです。相変わらずラインアウトの音量は低いです。
ヘッドホン出力も駆動力自体はZX1と同じです。大型ヘッドホンを駆動するにはパワー不足が否めません。

ソフトウェア
ここもZX1との比較がメインです。
OSはAndroid 4.2になりました。ZX1にあった余計なアプリはかなり減りました。
またシステム領域が2GBになりました。これでアップデートの際に容量不足はまず起こらないでしょう。
W.ミュージックアプリ自体はZX1とあまり変わっていません。
ソフトウェアで最も大きな違いはBluetoothのコーデック追加です。
LDACというソニー独自のハイレゾ対応コーデックが使えます。
LDACについては主観ですがMDR-1ABTで聞いたところ「apt-xと同じかちょっといいくらい」のイメージを受けました。
というのもLDAC対応でハイレゾを聞き分けられるほどのヘッドホンレシーバがまだ無いため、なんとも評価しがたいのが現状です。 (MDR-1ABTは残念ながらそこまでハイクオリティなヘッドホンでは無いので…)

音質など
今現在、ZX1持っている人が店頭でZX2を視聴してもほとんどの人が違いが分からないと思います。
事実、自分も最初はそうでした。倍近いコスト掛けて何も変わってないじゃない、と。
実際に購入してじっくりと聞き込むと、良くも悪くもその違いが分かってきました。

まずZX1の音質の特徴である「全体的にハキハキしていてとてもクリア」という印象からはガラっと変わりました。ZX2は「全体的に大人しくなり自然な柔らかい感じ」に聞こえます。
特に中音域の表現がとてもいいです。ボーカルの艶やかさが控えめだったZX1に比べZX2はとても艶めかしく濃密です。欠点だった低音も深さ、沈み込みといった「重み」が出ています。
音場の広がりは決して広大ではないのですが、豊かで繊細で聞きやすい印象です。
(これは使うイヤホン/ヘッドホンで大分変わりそうですが)
ZX1で気になっていた部分がしっかりと改善されています。
総じてすごく上品で安定した聞きやすい音というイメージを受けました。
デジタルアンプでこの音質は素晴らしいと思いました。さすがはSonyです。
反面、ZX1にあった「明るさ」と「ハキハキ」というキャラクターが薄れてしまい、何を聞いても上品に再生してしまう一面があります。結果的に歪みの多い音など迫力に欠ける印象はあります。

ZX2の音は「デジタルアンプの完成された音」でヘッドホンアンプなどを繋いでも改善どころか改悪になる場合もあります。ZX1は「不満の残る音」だったので、外部DACやヘッドホンアンプを繋ぐメリットがありましたがZX2はそれ単体で十分過ぎるほどの完成された音が楽しめます。
(逆の意味でZX2は外部アンプを繋いで音質改善図る楽しみがあまり無い、とも言えますが)

また一つ大事な点ですが、ZX1もZX2もデジタルアンプ(S-Master)という仕組み上、ヘッドホンアンプ出力部のLCフィルタの定数を接続するイヤホンのインピーダンスに合わせないと設計者の意図した音にはなりません。ZX2は16Ω(らしい・・・?)ので繋ぐイヤホンもそれくらいであればベストでしょう。
Sonyのイヤホンは32Ωが多い(XBA-Z5やXBA-A3など)ので、その辺りでいい感じに聞こえる様にチューニングされているのではないかと思います。
(本レビューはK3003(8Ω)で聞いているので他のイヤホンだと変わって聞こえるかもしれません)
良くも悪くもイヤホンによって鳴り方が変わることが特徴です。


気になる点
ZX1から様々な改善を見込んだZX2ですが・・・気になる点は多くあります。

1.お値段
いやもう高すぎでしょう。ZX1の時にコスト度外視で・・・とか言ってましたがあれはなんだったんでしょうね。
ハードウェアの所でもありましたが電気部品に専用設計品があり、機構部品はほぼ全て専用設計です。
ZX1の欠点をなんとか改善したい、という意気込みはよく分かるのですがもう少し汎用部品でコストダウンできなかったんでしょうか。逆に言えば専用設計品をこれだけつぎ込んでこの値段は凄いとも言えます。

2.OSとソフトウェア
Androidを搭載しているのはいいとしても、本来の目的と異なるものが多すぎます。
本機はDAPであり音楽を聴くことが目的です。メールや地図などあっても使いませんし、そもそも通信手段がWifiしかありません。本機を持つ人ならそういった情報端末はまず間違いなく持っていると思われますので、スマートフォン的な使い方はまずしないでしょう。動画再生なんかも個人的には不要です。
余計なアプリケーションのせいでバッテリーを消費し、結果大容量バッテリーを積んで重くなるでは本末転倒です。
幸いにも使わないアプリケーションは凍結出来るようになっているので、ユーザに一任されているという事でしょうか。だったら逆に最初からは何も入れずシンプルな状態をリファレンスにしてほしかったと思います。
もっとも、そんな事よりスマホとかからリモートコントロール出来る機能とか付けて欲しいです。重いからいちいち出してくるのが面倒なのですよ。(こういう意見ないんだろうか?)

3.残留ノイズ
個人的にココが最も許せない部分です。
音質の部分で書くべきだったのかもしれませんが、無音時のホワイトノイズ(サーっというノイズ)がわずかながら聞こえます。ZX1よりは減りましたがZX2でも残っています。
高感度のイヤホンじゃないと聞こえませんが、一度聞こえるとすごく気になります。シーンとした静寂の中で鳴るピアノのような空気感が大事な部分でノイズが聞こえてしまうためイメージ台無しです。これ本当に10万超えるプレイヤなのか?と疑ってしまいます。
ちなみにライン出力でもこのノイズは聞こえます。なので完全に対策するにはZX1と同じく外付けのUSB-DAC(PHA-3など)を繋ぐしかありません。ただそれをやるとZX2の作り込まれた(?)アナログ部分を使わなくなるので、ZX2の価値が無くなってしまう気がしますが。

4. 起動時の盛大なノイズ
省電力化のためスリープ時にはアンプの電源をカットするようです。
これ自体は何も問題ありませんが、問題は起動時の挙動です。
電源オン時、もしくはスリープからの再生開始時に「サー」っというノイズが5秒程度かなり大きな音で鳴ります。(最初に大きなサー音がでて段々小さくなる)
おそらくアンプに使っている電気二重層コンデンサへのチャージ時間だと思いますが、これなんとか対策出来なかったんでしょうか。
「初回の一度だけならいいじゃない」という意見もあるかと思いますが、実際使うとすごく鬱陶しいです。
ディスプレイ消えてる状態で再生停止すると、即スリープになるため次の再生時に起動ノイズが出ます。
つまり曲を一時停止して再生するだけでもこのノイズに悩まされるのです。
ディスプレイが点灯した状態での一時停止ならノイズは出ませんが、曲の再生停止にいちいちディスプレイ点灯させてタッチパネル操作なんかせず側面のキー操作で行うのが普通だと思います。でもそういう操作をすると上記の通りノイズに悩まされる。
正直こんな不都合付けてまで電気二重層コンデンサを積まなきゃいけなかったの?と思います。
当然ながらZX1にはこんな不具合(これ不具合レベルでしょう?)はありません。
注意書きはありますがそういうもんじゃないでしょう。Sonyの製品と思えません。
またこの起動ノイズが5秒で収まっても、前述の残留ノイズのサー音が残り続けるので聴いてる印象としてはずっとノイズが鳴り続けてるような錯覚を受けます。最低のクソ仕様です。

5.4極ジャック?
ZX2はイヤホン端子に3極ではなく4極ジャックを搭載しています。
本機種を調べている人は何処かで見かけたと思います。「GND分離」と。
ZX2の出力はアンバランス出力でバランス出力ではありません。アンバランスでもL/Rの回路を分離しGND結合点を理想ポイントで繋ぐことでL/Rセパレーションを改善することが出来ます。
これを一般に(一般なのかな?)GNDセパレーション設計とかGND分離設計とか言いますが、ZX2に関してはこの様な設計にはなっていません。(Sonyも一切そんな事言ってない)
基板の分解写真を見れば分かりますが(インプレスの記事「7つのOS-CONを搭載」の写真参照)L-GNDとR-GNDは同じベタGNDパターンに繋がっておりL/Rセパレーションに特化したパターン分離も特に配慮されていません。
よくZX2のGND分離配線で、プラグ先端から L+,R+,L-,R- という記事を見かけます。内部配線上はそうなっていますがGNDは直結合なので4極化する意味はありません。
ただプラグとジャックの相性のようなもので根元のスリーブ(信号で言えばR-)の接触が良くない事があるようです。その際4極化して疑似バランスっぽく聞くと右の音が不安定になり全体的にステレオ感がおかしくなる事があるようです。(耳のいい人は酔ってくるくらい気持ち悪いとか。わたしはそこまで感じませんでしたが)
トークショーで明かされていますが、元々は4極にしてリモコン対応にする予定だったそうです。そもそもこの考えがおかしい(イヤホン付属してない時点で汎用設計にすべき)と思いますが、こんな事するくらいならZX1と同じ3極ジャックでよかったんじゃないの?と思います。リモコンとかデジタルノイズ混入の元です。

総評
ZX1から着実に「音」を改善してきました。同時に高級感を高めてプレミア感も上がっています。
反面、人によっては大きな欠点とも取れる部分を持ち合わせています。
また大型化による重量アップはポータブル機としてはマイナス要素です。
ZX1から買い替えを検討する人も多いと思いますが、個人的な印象ではZX1の方が出来がいいです。
じゃZX2って何がいいの?というと・・・
  音、は良いです。これは間違いなく。でも個人の好みのレベル。
  バッテリーの持ちは凄くいいです。他社のDAPの倍以上あるでしょう。
ぐらいかなと。気になる点を寛容できるのであれば良い機種と言えます。

個人的に期待してガッカリだったのは4極ジャックの仕様です。
冷静になれば基板写真見るだけで気がついたのですが、いろいろなサイトやメディアの「噂話」に乗せられた部分があり手持ちのイヤホンを片っ端から3.5mm4極バランス改造した後に気がついて熱が冷めました。
(4極化したイヤホンで聴いても、ぶっちゃけ音は「よくなった気がする」程度で違いは明確には分かりませんでした。たぶん改造した、っていう実績からくる思い込みでしょうね)
不確かな情報に振り回された自分が悪いのですが、やはり自分の耳でちゃんといいと判断しないと駄目ですね。

そんな感じでZX2はハイエンドとしてはあまり良い印象を持てませんでした。
お勧めできるか?と言われると正直お勧めは出来ません。
Sony製品は好きだし方向性も好みなので、次機種ではもっといい方向に頑張って欲しいと思います。

2015年9月11日金曜日

DAP紹介(1) NW-ZX1

DAP(Digital Audio Player)の紹介です。
イヤホンと同じくピンキリですが主にハイエンドと呼ばれる物を紹介していきたいと思います。
まずトップバッターはSonyのNW-ZX1。



NW-ZX1 スペック
OS:Android 4.1
CPU:Ti OMAP4 Dual-Core 1GHz
RAM:1GB
ストレージ:128GB(SDなどで拡張不可)
電池容量:非公開(おそらく1000mAh前後)
外形寸法:59.7×122.3×13.5mm(最薄部:9.8mm)
重量:139g
操作:4.0型タッチパネル+側面ハードキー(六個)
再生動作時間:32時間(ほんまかいな)
DAC:アンプと一体型のS-Master HX
ヘッドホン出力:シングルエンド, 15mW+15mW
ライン出力:あり(Dockコネクタ)
デジタル出力: USB-AUDIO接続(Dockコネクタ) ※難あり
Bluetooth:あり(A2DP)
再生フォーマット:DSD,mp3,wma,ATRAC,wav,AAC,FLAC,Apple lossless,aiff
(サンプリング周波数:192k/24bitまで対応。DSDはPCM変換再生)
エフェクタ:イコライザ5バンド、 DSEE HX

ルックス
いわゆるハイレゾウォークマンです。
非常にコンパクトで持ちやすく、ハイレゾ再生機としてはかなり小型だと思います。
背面の膨らんでいる部分は電源にOS-CONを使っているためです。この膨らみがちょうど指を掛けやすくデザインにも使い勝手にも貢献しています。机上に置くと少し斜めになっちゃうのが欠点ですがw
筐体はアルミ製で余計な装飾がなくスッキリしています。
ヘッドホンジャックに大きな真鍮部品が付いていますがデザイン?音的に有利には見えません。

ハードウェア
スペックはAndroidスマートフォンとほぼ同じ。スペック的には少し前のスマートフォンと同等です。
再生プレイヤーとして考えれば十分でしょう。ハイスペックなCPUは動作クロックも高く消費電力も高いため、ノイズ源になりやすいのでこの選択は悪くないと思います。
Sonyは電源を重視しているらしく、バッテリーの配線径とかOS-CONの採用で通常のウォークマンモデルに比べ豪華なハードウェアを備えています。オーディオ回路の基本は電源にあり、です。
ハイエンドプレイヤーで音質の指標にされるD/Aコンバータ(DAC)ですが、ZX1はSonyお得意のS-Masterを搭載しています。S-Masterの詳細は省きますが、ここが他社にはマネできない大きなポイントでしょう。
S-Master=デジタルアンプでハイエンド機でデジタルアンプ積んでいるDAPは今のところWalkmanだけです。
このお陰で高音質+長時間電池駆動が実現出来ています。
実際連続再生時間は他社に比べWalkmanはダントツに長いです。
WM-port経由でUSB-AUDIOが使えますが専用のケーブル(WMC-NWH10)が必要です。これが結構大きくて邪魔な上に使えるUSB-AUDIO(USB-DAC)はかなり限定されています(むしろ動くDACの方が少ない)
バスパワーで動くものはだめでusb audio class-2の物もあまり認識してくれません。この部分だけはイマイチです。もう少し互換性を考慮してほしかった所です。

ソフトウェア
ハイエンドプレイヤーですが、Android自体はあまりがっつりカスタマイズされていません。
されてないどころか、xperiaと同じ様なソフトウェアまでプリインストールされていてちょっと困惑します(これでReader使う人いるの・・・?)
また内部パーティションの構成が悪くシステム領域が1GBしか割り当ててないせいで、標準アプリのまま使用していてもストアからアップデートし続けるとシステム領域が不足してアップデート出来なくなります。このため不要アプリを使わない設定にする必要があります(幸い機能の無効化はroot化しなくても出来ます)
また標準構成のまま使うと妙に電池消費が多く、再生してない時でも電池が減りまくります。いろんなアプリが通信しようとしてスリープ阻害するのが原因のため、不要な機能の無効化が必須になります。
肝心のプレイヤーソフトウェアはウォークマンアプリ。xperiaにインストールされているものとほぼ同じですが、ハイレゾ再生が出来るなど多少違いがあります。
Androidでストアも使えるので別のプレイヤーも使えます。Powerampなど。

音質など
音は普及型のAシリーズやFシリーズに比べて格段に違います。音の広がり、高音の伸び、低音の安定感などお店の店頭で聞いても分かるレベルで違いを感じられます。(この値段で同じだったら詐欺ですがw)他のwalkmanとの違いはあまり意味がないので、他社のDAPと比べてどうか?というと一長一短です。
良くも悪くもS-Masterで”デジタルアンプ”の音になってしまうので好き嫌いが分かれます。一般にデジタルアンプの傾向は
・高音の伸びが良い
・音の立ち上がりがいいのでクリアに聞こえる
傾向にあります。またデジタルアンプという仕組み上、スイッチングノイズのせいで測定上の歪み率はかなり悪くでますが聴感上の音には大きく影響しません。(測定情報だけで音質決めつけちゃイケナイ)
ZX1も同じ様な傾向です。アナログアンプ特有のクロスオーバー歪みがないので全体的にハキハキしていてとてもクリア。よく使われるPCM1794あたりのDACの音に比べると明るく元気に聞こえます。
反面、音の深味というか沈み込みについてはあまり得意ではないように感じます。低音は張りがあるのですが重くない、といった感じです。音全体はバランスよく纏まっていて聞きやすいですが、この傾向のせいか迫力に若干欠ける気がします。
またZX1は少しボーカルの艶というか響き?が控えめに感じます。これがSonyのチューニングなんでしょうか?
総じて音質的には「明るく元気な高音と張りのあるダイナミックな低音、でもヘビーじゃない」のイメージを受けました。ピアノとかすごく良く響くので聞くと楽しくなりますw

気になる点
いいものはどうしても欠点が気になります。
ZX1で気になるのがバッテリーの問題です。
前述したとおり、内蔵ソフトの機能を停止しないと電池消費が激しく待機状態で下手すると1日持たない場合があります。 またDSEE使うと電池消費が通常の倍くらいになるため余計に気を使います。
USB-DAC繋いだ場合は更に電池消費が激しくなります。USB-DAC繋いだ状態だと5時間持たない気がします・・・せっかくS-Masterで省電力なのに他で電力使って電池無くなっては勿体ないです。
あと無音時の「ノイズ」が大変気になります。
感度のいいイヤホンじゃないと聞こえませんが、聞こえてしまうと非常に気になります。
ずっと「サー」というノイズが気になります。このせいで”静寂に包まれた中の繊細な音”が表現できません(言い切ります!)
これ昔からS-Master積んでる機種は残ってるんですよね。Sony曰く「デジタルアンプなのでこれが限界」らしいのですが・・・
あとライン出力のレベルが非常に低いのも気になる点です。一般的なライン出力の半分くらいしか無いんじゃないですかね。またこのライン出力にもノイズが残っているので、ノイズが気になる場合はUSB-DACを繋ぐしかありません(PHA-3みたいな)

総評
デザイン含めた全体的なまとまりや、使い勝手はとてもいいと思います。
反面、バッテリーとソフトウェアの組み込みに関してはもう少し考えて欲しかったところです。
音は好みもあるので善し悪しは主観によりますが、ハイエンドとしては上々でしょう。
大きさと重さという点では持ち運びしやすく、中古市場でも潤沢に出回ってるので比較的値段も下がってきていますのでハイレゾ再生機としてはオススメしやすい機種です。


まぁ欠点が見えてくるとガマン出来なくなっちゃうのがオーディオの困ったところですが・・・(;´Д`)
なので手元にはZX1もうありませんw

次回に続く?

イヤホン紹介(5) K3003 その3

装着に難ありのK3003ですが、このままだと通常使用に支障があります。
eイヤホンでもケーブル角度を付ける事が出来なかったので調整をお願いするわけにもいきません。
結局のところ、ケーブルをイヤホンから下に出すと、どうしてもMMCXコンタクト分重みがかかるため振動で抜けやすくなります。
やはり抜けにくく安定する構造は耳掛けにして、MMCXジャックを本体の極近傍に用意するしか無さそうです。となると問題はMMCXジャックの固定です。

そこで、以前EX1000でプラグ変換アダプタをアクリルモールドで作っていただいたE4UAさんにご相談し、無理を承知で改造を依頼しました。
(高額イヤホンであることと、一度他で改造しているものなので何かあった時に対応しかねます、との事だったのですが失敗しても責任は問いません、全てこちらの依頼責任でお願いできませんかとの事で了承頂きました)
E4UAさんと何度か意見を交わし耳掛け方式でMMCXジャックを取り付けるため、shureの様な本体と一体化したような構造をアクリル形成で作って頂く事にしました。ケーブルを支えているゴム部分を完全に削り落としMMCXジャックを本体上に固定します。

早速ですが完成品です。K3003改二!

 
素晴らしい出来です。
ここまでしっかりした物に仕上げて頂けると思ってませんでした。まるで元々この形であったかのような一体感です。MMCXの角度はshureを参考に調整頂いたとのこと。黒いモールドはアクリル樹脂の形成で人体に触れても影響がないよう配慮されています。

早速装着してみます。ケーブルの角度もばっちりです。動いてもイヤホンが外れるような事はまったくありません。やはり耳掛け方式で正解です。耳掛けにしたおかげでケーブルのタッチノイズも全然出ません。
イヤーフックのついているケーブルもこれで無理せず使える様になりました。E4UAさんに心より感謝です。

実際のケーブルが付くとこんなかんじになります。


とてもいいです。知ってる人がみてもK3003には見えません(笑)
Kimberもこんな感じで普通に使えます。


 まあこれでもKimberは持ち歩きしんどいんですがw

三度の改修を経てK3003のMMCX化(デタッチャブル化)は完了しました。
ちなみにこのK3003をeイヤホンのご担当者さんにお見せしたところ「当店でもモールド形成にチャレンジしてみます」との事でしたのでeイヤホンでもまた別の形成で依頼できるかもしれません。
(モールド形成が出来ればオリジナルの下出しも角度付けて出来るので現実的かも)

あと今回の改造はeイヤホンで出来なかったのでE4UAさんにお願いした、ではありません。
こちらが理想とする形が中々決まらず試行錯誤にお付き合い頂いた過程でE4UAさんにお願いしました。
eイヤホンの対応は親身で無理も大分聞いて頂きました。誤解無きようお願いします。


で、結局改造してどうだったか?

費用はかなり(何度もやり直したので)掛かりましたが、最高です!
もういろんな所に上々ねと褒めて上げたい、そんな気分です。

10万超えのイヤホンの改造なんて酔狂な事はオススメは出来ませんが、頑張った甲斐はありました。
whiplash+K3003なんて贅沢は中々できませんw

イヤホン紹介(5) K3003 その2

K3003ですが使い込むとそれなりに不満(と期待)が出てきます。
ケーブルを交換出来ないのでリケーブルによるチューニングを楽しめないことや、音はいいけど音場の狭さや低音の豊かさなどが曲によって物足りなく感じる、などです。
残念ながらK3003はチューニングの余地がノズルフィルタの交換くらいしかありません。このフィルタの交換は効果が大きすぎて調整にはちょっとキビシイ。

EX1000の件もありケーブル交換はかなり効果を期待できます。
かなり悩みましたがK3003をMMCX化する改造を行う事にしました。
MMCXにすればケーブル変え放題ですので、気になっているK3003のケーブルチューニングもやり放題です。
どうにもこの細いケーブルが気になってシカタナイ!
(思えばこれが泥沼への第一歩でした・・・orz )

さて問題はK3003のMMCX化をどういった方針で改造するか?
shure掛け出来ないと使えないケーブルもあることから耳掛けがベストです。
ただK3003は根本がゴム形成で下に向かってケーブルが垂れています。
これを回して耳掛けはちょっと無理があります。あまりに大胆な改造で失敗すると目も当てられません。
それに耳掛けだとK3003の簡単装着が損なわれます
というわけで下出しの方向でMMCXでジョイントする改造にします。

改造をどうするか?自分でやっちゃう?サービスに頼む?
MMCXコネクタはかなり小さく細工には熟練した半田工作技術が必要です。
個人的に半田工作の技術は自信ありますが、MMCXコネクタの固定方法がいい方法が思いつきません。
ケーブル先端にぶら下げてジョイントは断線の危険性があるので駄目です。

いろいろ悩んだ結果、イヤホンのカスタマイズをeイヤホンで請け負って貰えるとのことだったので、思い切って頼んでみることにしました。
店頭で装着具合を相談しながら・・・出来た物がコレ


ジョイントプラグは長めで、内部に金属パイプが入っておりしっかりと固定されています。
元々付いていたケーブルもMMCXプラグを付けてジョイント出来るようにしてあります。

使った感じですが残念ながらあまりいいものではありませんでした。
まず長いプラグ部分が耳にあたり肝心のイヤホンそのものが耳奥まで挿しにくい。入らなくもないけど、その状態で外で歩き回ると振動でイヤホン自体が抜けやすくなってしまいます。
MMCXにすることでケーブルは変えられますが、イヤーハンガー付いてるものは使えません。これは元々分かっていた事ですが、いざ交換となるとかなり困りました。

オリジナルのケーブルを繋いで視聴したところ、妙に音が悪くなっています。(感じ、ではなくあきらかに音が悪くなった)イヤホン自身が耳奥まで入りにくいせいもあると思いますが、これでは改造したメリットがまったくありません。
またケーブルについても加工時に失敗があったようで、Y分岐が一部被覆が溶けて破損していました。装着問題もあることから、再度eイヤホンで調整改造を行って貰う事にしました。

・ ・ ・

eイヤホンにMMCXのジョイント角度の変更と改造部分が重いので軽量化、ケーブルの修理をお願いしました。出来た物がコレ



K3003改です(笑)
あんまり変わって無さそうで変わってます。肝心の角度は試してみたが固定が厳しくできないとの事でした。
ケーブルは修復されましたが少し短くなってしまい、結果的に使えなくなりました(泣)

ひとまず気を取り直してリケーブルです。


うーん・・・耳掛け出来なくもないんですが、かなり不格好です。
ちなみに写真のケーブルはkimber kableの改造品です。

音は最初に改造した物とくらべ問題なくなりました。前は何処か改造ミスがあったのかもしれません。

装着感はともかく、リケーブルの効果はありました。
標準ケーブルからいくつかリケーブルしてみました(プレイヤーはNW-ZX2です)

■Kimber Kabke
SonyがMDR-Z7用として販売しているKmber製のケーブルをMMCXに改造したものです。
オリジナルに比べあきらかに音場が広くなりました。低音も弾むような感じになります。
ただ上の写真みてのとおり、ケーブルが太く取り回しがよくありません。

■ALO Copper22
ALOの高級純銅ケーブルです。あまりレビューは見当たりませんが「凄い」ケーブルです。
元々K3003はバランス良い音が特徴ですが、Copper22に変えると全体的に音が明るくメリハリ強くなったように感じます。まるでイコライザーで高音低音補正したような感じを受けますが、ドンシャリではなく元気な音になるような感じです。
少し取り回しが良くないのが欠点です(ケーブルのソリが結構硬い)

■Whiplash Audio TWag V3 and TWcu V3
リケーブルの最高峰といえばWhiplashです。これは銀線と銅線のハイブリッドです。
Copper22と甲乙付けがたいのですが、Copper22ほど元気な感じはしませんが音場が広くなり低音も厚みが出ます。 音が濃くなる様な感じでK3003の上品さに深味が加わったような感じです。とてもいいです。

■AUDIOTRAK Re:Cable SR3
自作用にキットもでている銀線のケーブルです。
オリジナルと比べ明るくなった印象を受けます。本ケーブルはキンキンすると評価受けやすいですがK3003ではそんな事は無く銀線らしい高音の響きが魅力的なケーブルです。

■onso MMCXリケーブル 1.2m
この中では最も安価なケーブルです。ケーブル自体細くしなやかで取り回しは良好です。
音はニュートラル。オリジナルと比べてあまり違いは感じません。
ある意味K3003のケーブルはこれと同じくらい、ともいえるのでは無いでしょうか。

値段相応、といった所ですが一番いいのはwhiplashです。
時点でCopper22でしょうか。どちらも非常に高額なケーブルですが価値はあります。
改造自体は難アリですがリケーブルの効果は確実にあります。


その3に続きます。

イヤホン紹介(5) K3003 その1

前回更新から少し間が空きました。
また更新していきます。

お次はAKGのK3003。10万オーバーの超高級イヤホンです。

型式 密閉3ウェイ・ハイブリッド型
出力音圧レベル(感度) 104dB/mW
再生周波数帯域 10~30,000Hz
最大入力 15mW
インピーダンス (イヤホンでインピーダンス8Ωは珍しい)

AKGは何故か中堅機(N20)からいきなりこの超ハイエンドになります。
4~5万クラスのハイエンド機が無いのは納得できる製品が出来ないということでしょうか。
筐体はステンレス。10万超えるイヤホンは多数のマルチドライバーを組み込んで音作りしているものが多い中、K3003はダイナミック1機+BA2機というハイブリッド型です。
スマートなデザインで見た目も凄くオシャレです。

ノズル部分の金属フィルターが交換出来るようになっていて、高音ブースト、低音ブースト、バランスの3つから選べるようになっています(実際には各フィルタでBAとダイナミックの部分を塞ぐような形で音質調整してるみたいです。低音ブーストを付けるとほぼBAの音が聞こえなくなりダイナミック1機のような音になります)
ネットワークフィルタの様な構造ではないのは好感が持てます。

このクラスの値段のイヤホンなのにケーブルが交換出来ないのが最大の欠点でしょうか。
その代わりにケーブルをshure掛けせずにまっすぐ装着できる貴重なハイエンド機です。
ケーブルは布巻してあり、タッチノイズ対策もよく考えられています。細く、しなやかですが絡みにくく使いやすいケーブルです。(太さ的にOFCリッツ線でしょう)反面、プラグが細くハウジング部分が外れやすいのが欠点です。量販店のデモ機なんかだとよく外れてるのを見かけます(泣)

肝心の音ですが、もうこれは・・・最初聞いたときにため息がでました。
透き通る高音、量があるのに上品な低音、艶やかなボーカル。今まで聞いたどのイヤホンよりも衝撃的でした。特に中音のボーカルの艶やかさと高音の切れのよさで異様なまでに高解像度を感じます。このイヤホンじゃないと聞こえない音があって驚きました。
とにかく音のバランスと透明感が凄い。モニターライクとかではなく、音楽の世界にのめり込める、うっとり聴けるそんな音です。まさに「美音」と呼ぶに相応しい音です。

また音場は広いですがEX1000ほど広くありません。バランスの良さでまったく気にならないのですが、音像がしっかりと定位するせいか音が全体的に近く感じます。
低音寄りのヘビーロックのような音は苦手です。なんというか、なんでもかんでも上品に再生するのでヘビメタのような歪みの多い(悪い意味じゃないですよ)楽器を多く使い、荒々しさを表現する音楽は妙な部分だけ目立ってしまい変わった聞こえ方します。ディストーションギターのアームダウンだけ妙にくっきり聞こえたり(笑)

イイコトばかりでも無く、インピーダンスが8Ωとスピーカ並に低いため駆動できないプレイヤーも多いです。
音は鳴りますが、本来のK3003の鳴り方は楽しめません。K3003にはK3003iというiPhone向けのモデルもありますが個人的にはありえないモデルです。Androidスマホでも聞いてみましたが「良いけど10万超えの音してないよね?」みたいな感じになります。
ドライブさえ出来れば困ったことにK3003はアンプの善し悪しを分からなくするほどいい音で鳴らしてくれます。ディスクリートアンプとOPアンプ一石のHPAを聞き比べてもあまり差を感じないという、いいのか悪いのか分からない現象がおきます(笑)何聞いてもいい音に聞こえてしまうとんでもないイヤホンです。

低インピーダンスで高感度なのでプレイヤーのホワイトノイズが聞こえてしまうのも困りものです。メインに使っているNW-ZX2では結構ホワイトノイズが聞こえます。ポータブルアンプのPHA-3では聞こえません。

あとは・・・イヤーピースについて。
通常カナル型のイヤホンはイヤーピースでかなり音質の変化があります。
K3003も同様でイヤーピースでかなり変わってきます。
元々付属にコンプライのスポンジチップが付いているので、こちらに変えると遮音性が上がりますが全体的に音が大人しめになり解像度が落ちたように感じます(柔らかくなる、感じなのでこちらの方が好みの方もいるのではないでしょうか)
シリコンピースはSonyのノイズアイソレーションやダブルフランジなどいろいろ試してみましたが、結局標準品が一番しっくりきます。(というかK3003の標準ピースって取り寄せでもかなり高いですね・・・)

最大のネックはやはり価格でしょう。記事作成時点(2015/9)で14万以上の値が付いています。
海外製なので円高円安の影響をかなり受けるため、故障時に自分で対処できるのであれば海外通販で購入するのもアリでしょう。結構安く買えます(それでも$900は掛かりそうですが・・・)

とまぁベタ褒めのK3003ですが、使い込んでるとこれはこれで不満が出てきます。
というわけでその2へ続きます。

2015年6月7日日曜日

イヤホン紹介(4) MDR-EX1000

まだまだ続くよ。イヤホン話(笑)
いくつ買ったのか正直怖くなるけど気にしない!
お次は日本が誇るSony製品。MDR-EX1000です。



型式 密閉ダイナミック型
出力音圧レベル 108dB/mW
再生周波数帯域 3~30,000Hz
最大入力 200mW
インピーダンス 32Ω
(何気に最大入力200mWってイヤホンでは結構凄いです)

ケーブルがイヤホン根元から交換出来ます。
ボディはSonyお得意のマグネシウム合金でアルミやステンレスでは出せない質感があります。
丸い部分がドライバーで16mmという大型のダイナミックドライバーです。
液晶ポリマーフィルム振動板、とかいうのを使っているそうな。
再生周波数帯域が凄いです。30kとか聞こえないよ(笑)

各地で高評価なので今更感はありますが、敢えて今更ですが書いてみます。
Sonyのイヤホンはイマイチ好きになれない(なんか言い方悪いけど音がモコモコしててすっきりしない)部分があり敬遠していたのですがEX1000は別格でした。
(もっともそれがSonyの音作りなのかもしれませんが・・・)
音はダイナミックとは思えないほど高解像度かつ繊細で、音場が広いです。
音場の広さは半端なく、正直これ以上広い音場を持つイヤホンは聞いたことありません。
大型のヘッドホンを付けたときのような、遠くで鳴ってるような音まで再現します。

とまぁどこの紹介でもベタ褒めなんですが、個人的にEX1000は物足りなさを感じました。どうも音が広がりすぎて主体となる音(楽器)がはっきりしない。ピアノの響きに耳を傾けたいのに、遠くにあって存在感を感じにくい。
ボーカルも艶やかで艶めかしいのですが、曲によっては妙に近くて伴奏と離れすぎて「近い,近い」みたいな部分があり、本来の録音ってこんなイメージなんだろうか?と考えてしまう時があります。
要は楽器が主張してくれないのです。 ゴージャスだけど物足りない、そんな感じです。

あと欠点は装着方法でしょうか。
耳から飛び出し部分が大きいので風きり音がかなり出ます。
遮音性も少し悪いようで電車で使う時には音量に注意です。
そういうわけでEX1000はしばらくお蔵入りになっていました。

ふとした事からEX1000でMMCX対応のケーブルを使える様にできるアダプタの存在を知りました。
EX1000はリケーブル出来るのですが、Sony専用コネクタだったのでサードパーティや自作製品については半ば諦めていました。(この頃はケーブル変えて音が変わるという事自体をあまり信じてなかった)
EX1000は姉妹品にEX800STがあります。こちらのケーブルは取り寄せでもそれほど高くなく、このケーブルからコネクタ部分だけ抽出してMMCXへの変換アダプタを作ろう、というものです。
こんなの。


イヤホンの改造はいろんな所が請け負ってくれますが、このような樹脂成形品を作ってくれる所はほとんどなく今回はE4UA様の方にお願いして作成を依頼しました。
ケーブルは音の傾向から高音をより強調出来て音像がはっきりする・・・事を期待してAUDIOTRACKのRe:Cable SR3をチョイスしました。

※プラグは都合により改造してあります

ケーブル交換による効果はスピーカでは割と顕著ですが、イヤホンの様な短いもので効果があるのかは正直疑問に感じてました。
半信半疑で聞いてみたところ、これが大当たり。
楽器が、ボーカルが、超リアルです。元々の高解像度もあってバランス破綻することなく、各楽器の音色がはっきりときこえます。元々にあったもやっとした感じが払拭されたイメージです。
コレは凄いです。EX1000はケーブルで大化けします。
考え改めました。イヤホンもケーブルで音質激変します。(激変の度合いは個人差が(ry

ただ元々のEX1000のケーブルも決して低品質ではありません。スペックだけなら高純度7N-OFCリッツ線とありますので純度99.99999%の無酸素銅のケーブルです。普通イヤホンには使わないような高級品です。
Sonyもこのケーブルとイヤホンでこの音作りというチューニングなのでしょう。リケーブルはSonyの音作り気に入らないからケーブル変えたら好みになった、と言えます。
(個人的にはリッツ線というのが駄目なんだと思うんですけどね・・・被覆がないのでケーブル細く出来て取り回し優先というのは分かるんですが、どうしても断面積などを考えるとケーブルとしては銅面積が少ないので電気的に不利であるように思います)

ちなみにリケーブルに使ったSR3は普通にSHUREなんかのイヤホンに使うと高音が出すぎてキンキンします。
他にもいろいろ試しましたが、リケーブルの話はまたの機会で。
これだけでいろいろ紹介できてしまいます(電線病ですね!)

あと写真のプラグみて分かるとおり、バランス接続対応にしています。
これもまた別途紹介しますが、EX1000はバランス駆動すると無茶苦茶高音が出るようになります。
もう元々の音の面影なんて何処にもありません(笑)

Sonyは後継にZ5A3なんかを出していますが、どれもダイナミック+BAのハイブリッドなんですよね。
正直なところ、上記ケーブル交換を無しと考えてもEX1000の方が好みです。
Z5やA3にも良いところはありましたが、買い替えは一切思いませんでした。
Z5に至っては「これで6万超えるの・・・?」とかなり首を傾げたくらいです。
ハイレゾという、聞こえない帯域までの再生能力に拘りすぎて音作りが迷走してるようなイメージを受けました。
ハイレゾロゴなんかいらないから、EX2000の登場を心待ちにします(笑)

イヤホン紹介(3) Westone3

お次は海外製。WestoneのWestone3です。
既にメーカリンクはありませんでした。
現在手元に無いためこれも写真がありません。ごめんなさい。

型式 3wayバランスド・アーマチュア型
出力音圧レベル 107dB@1mW
再生周波数帯域 20~18,000Hz
インピーダンス 30Ω

こちらも3wayドライバです。
先のCK100PROに比べ本体が小型で軽く扱いやすいです。
スペックも似ています。

音はオーディオテクニカの製品に比べると全然違います。
まず一聴して感じるのが「すごい低音感だ」という点でしょうか。
BA型はあまり低音が出ない物が多いのですがWestone3はかなり出ます。
全体的に柔らかめ(ぼやけ気味?)に感じますが(相反するようですが)解像度が高く一つ一つの楽器の音が丁寧に鳴るため非常に聞きやすいという点が印象的です。
こもってる、とかはなく補聴器メーカらしく耳に負担を掛けない音作りをしている様に感じます。
また、小音量でも低域や高域の不足感を感じないため音量をそれほど上げなくとも聞いてられる、まさに超バランスイヤホン、のような存在です。
(これが不思議で音量を上げると低音と高音が控えめになるように聞こえます。このため音量を上げてもそれほどうるさくならないという変わった特徴を持っています。耳にヤサシイ)
この音は1万程度のイヤホンでは出せないでしょう。
派手な音色や響きは控えめですが、上品な音で長時間聞いていたい場合にはもってこいです。

欠点はやはりケーブル関連です。
取り回し優先のせいか、ケーブルがかなり細く華奢なイメージを受けます。
実際にはぐねぐね曲げてもなんともない、頑丈なケーブルですがぱっとみた印象では「切れそう・・・」というイメージがあります。
細くても交換できれば良かったのですが、残念ながら本モデルではリケーブル出来ずケーブル交換は出来ません。
また本機はSHURE掛けで装着しますが、ケーブルのY分岐部分からの長さが短く人によっては耳に付けにくいと感じると思います。(実際自分も結構付けにくいと感じました)

中古価格は1万程度でかなりお安いです。
ただ前述の通り、ケーブルが華奢なので少し不安はあります。
特徴から年配の方なんかがオススメになるんでしょうか。
個人的には上品過ぎてちょっと物足りなさを感じる部分がありました。(←手放した理由)

イヤホン紹介(2) ATH-CK100PRO

続いて2番手はオーディオテクニカのATH-CK100PROです。
CK10をずっと使っていて正当な後継機を聞いてみたい!と思い購入した記憶があります。
残念ながら現在は手元にないため、写真も残ってません。ごめんなさい。

型式 バランスド・アーマチュア型
出力音圧レベル 109dB/mW
再生周波数帯域 20~18,000Hz
最大入力 3mW
インピーダンス 39Ω
発売:2011年11月

スペック的にはCK10よりも再生帯域が広がり、インピーダンスが下がった感じです。
再生ユニットはBA×3で低域・中域・高域の3つそれぞれが担当しています。
当時はトリプルBAは珍しく、ハイエンドイヤホンの象徴でした。

店頭で(たしかeイヤホンだったとおもいます)視聴した時に、その音に衝撃を受けて他のイヤホンをまったく聞かずに購入しました。それくらい音質は衝撃的で感動した記憶があります。
(一聴して笑いが出そうになったイヤホンです。あまりここまで感動するものは無いですが・・・)
高音の響き(伸び)、音場、ボーカルの艶やかさ、低音の張りなどどれを聞いても納得できる音作りで購入してかなり長い間使っていました。
特にバイオリンやチェロのような弦楽器の響きが素晴らしく、音楽を楽しむという点では惚れ込むような音がします。特性的にはモニターライクとも言えなくもないですが、個人的には音楽的な鳴り方も楽しめるイヤホンだと感じました。
少し低音が薄いですが、あまり気になりません。
装着が少しやりにくいですが、付けてしまえば遮音性も良く重さも気になりません。

欠点が全然ないのかというとそうでもなく、トリプルBAのせいか本体が大きく長時間の装着は少し疲れます。風きり音も少しあります。
また断線対策にリケーブル出来るようにケーブルが交換できるのは好感が持てるのですが、接続方法が本機専用でSHUREの様な共通交換が出来ません。音的な変化を楽しめるようリケーブルが他社と共通だったら良かったんですが・・・無理すれば自作も出来なくは無いですが(一応MMCXなので)ハードルは高いです。
一応Null Audioからリケーブル製品はありますが、高額なせいか交換したようなレビューも見当たりません。

とまぁ、ケーブル以外の欠点は見当たらない優等生ですが・・・結局手放します。
上には上があるんですね・・・オーディオは奥が(闇が)深いです(?)

イヤホン紹介(1) ATH-CK10

前回の更新から1年以上経ってしまいました。
またぼちぼちと更新していきます。宜しければお付き合い下さいませ。
LV1.0のネタはまだありますが(既にLV2.0とかも出てますが)こちらはちょっと休憩。
しばらくオーディオネタでイヤホンやDAPの紹介をしていきたいと思います。

まずはトップバッターはオーディオテクニカのATH-CK10です。
製品自体はかなり古く発売は2007年の12月です。


型式:バランスド・アーマチュア型
出力音圧レベル:107dB/mW
インピーダンス:55Ω
再生周波数帯域:20Hz〜15kHz
最大入力:3mW

特徴はこの大きさでデュアルBA搭載していて非常に軽い事です。
装着感も良好です。長時間付けていても耳が痛くなりません。
小さいので風きり音もほとんどしません。
(写真のはイヤーチップをコンプライに変えてあります。標準は普通のシリコンピースです)
スペック面から見るとインピーダンスが55Ωと高めなので、ホワイトノイズが出にくい利点もあります。

肝心の音は高域の伸びがよく、音場がかなり広いです。
解像度も高く、年期を感じさせないバランスのいい音が鳴ります。
低音は控えめです。中音域もすこし控えめ。


個人的にこの音場の広さがお気に入りです。
この価格帯でここまで広いイヤホンあんまり無いでしょう。

自分の場合、買い替えスパンが短いので(たぶん・・)イヤホンは割と中古売りや知人に譲ったりなどで古いものは残ってない事が多いのですが、 このCK10は手放さずずっと持っています。

高域と音場を求める人にはお勧めです。
中古だと1万前半で購入出来る事が多いようです(2015/6現在)